腰痛

腰痛・坐骨神経痛

腰痛は皆一度は経験したことが
あると思うくらいポピュラーな痛みです。

よく見受けるのは、
“重たい物を持とうとして痛めた”
“動き始めにグキッと痛めた”など
ただ、それは痛めた「キッカケ」
であって原因ではありません。

体がガチガチに固まった下地の
状態があって初めて、
何か動いた拍子に痛めるわけです。
では、なぜ体が固まってしまって
いたのか?を考えた時、
東洋医学では内臓の働きを重視します。

普段から内臓が元気に連携取れて
働いていると、体は新鮮な
気血で潤いスッキリした状態が保てます。
内臓のどこかが元気ない場合、
体のあちこちでモヤモヤが募り
それが慢性化すると筋肉も
慢性的に緊張し、何かした時に
グキッと痛めることになります。

それがギックリ腰だったり、
もっと慢性的になると、
筋肉が緊張しっ放しで椎間板を
圧迫した結果、腰椎椎間板ヘルニアや
坐骨神経痛、腰椎変性すべり症、
脊柱管狭窄症といった
疾患に及んできます。

 

ここでは腰痛に関する
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。

 

 

 

 

西洋医学の見解

 

 

「腰痛」とは疾患(病気)の名前ではなく、
腰部を主とした痛みやはりなどの
不快感といった症状の総称です。

 

一般に座骨神経痛(ざこつしんけいつう)
を代表とする下肢(脚)の症状
を伴う場合も含みます。
腰痛は誰もが経験しうる痛みです。

 

 

・非特異的腰痛
多くは椎間板のほか椎間関節、
仙腸関節といった腰椎の関節部分、
そして背筋など腰部を構成する
組織のどこかに痛みの原因がある
可能性は高いところですが、
どこが発痛源であるかを
厳密に断言できる検査法がないことから
痛みの起源を明確にはできません。

 

骨のずれ(すべり)やヘルニアなどの
画像上の異常所見があっても、
腰痛で困っていない人はいますし、
逆に、腰痛の経験があっても
画像所見は正常な場合もあります。

 

つまり、画像上の異常所見は
必ずしも痛みを説明できない
ことが理由の一つです。

 

ぎっくり腰等の非特異的急性腰痛は、
初期治療を誤らなければ
多くは短期間でよくなりますが、
一度発症すると、
その後長期にわたり再発と軽快を
くり返しやすいことが特徴です。

 

また、腰痛は神経、内臓、血管、
心因性の病気などが原因で
起こることがあります。
特に内臓の病気や脊椎の腫瘍・
感染・炎症・外傷などが
原因になっている場合は、
早めに見つけて
治療する必要があります。

 

原因

腰痛の大きな原因のひとつが
「姿勢の悪さ」です。
座っているときは姿勢が崩れやすく、
長時間座ることで、
腰へのインパクトも大きくなります。
立っているときよりも、
座っているときの方が、
1.4倍も腰に負担がかかるというので
注意が必要です。

 

 


重い荷物を持ち上げるために、

かがんだり立ったり、
腰をひねったりと、

同じ動作をくり返すことで、
腰に負担がかかります。

 

 

また、長時間同じ姿勢を続けることも、
よくありません。
動かずに同じ姿勢でいると、
筋肉がこり、関節の動きが
悪くなります。

正しい姿勢がとりにくくなり、
それが続くとさらに腰痛は悪化します。

 

 

痛みがあるからといって、
安静にするのではなく、
逆に動くことで、

筋肉や関節がゆるまり、
正しい姿勢をとりやすくなります。

 

ストレスも
腰痛の大きな原因と考えられています。
職場や家庭内でのトラブルなど、
何らかの精神的なストレスがかかると、
自律神経のうち、緊張状態を作り出す
交感神経の働きが高まります。

 

すると、無意識のうちに筋肉が緊張し、
腰への負担を高めるのだと思われます。

 

 

ストレスは精神的なものばかりでなく、
物理的、環境的なものもあります。

 

たとえば、寒い冬になると、
体が縮こまり、かたまりやすくなり、
それがこりや痛みにつながります。

 

 

また、現代ではパソコンや
スマホの画面を長時間見ることが
増えていますが、画面から発する光が
無意識のうちにストレスとなって、
体の緊張につながっている
ことも多々あります。

 

 

 

東洋医学の見解

 

腰が痛いというのは、
酷使による筋疲労はもちろん
ジッと静止した状態が続くと
筋肉が固まってしまい
動いた瞬間にグキッ!と痛める
ぎっくり腰といった症状があります。
こういった腰の痛みも
外傷性でない限り臓腑の不調から
くるものと考えて良いです。
以下より、
臓腑と腰についての関係性を

詳しく解説して参ります。

 

 

腰脊痛とは腰背部の疼痛を指し、
腰と背部は連なっており
脊柱部や脊柱両側から
腰部の痛みが生じるので

一般に腰脊痛と称し、
単に「腰痛」とも言う。

《内経・脈解篇》
「腰脊痛」

《刺腰痛論》
「腰痛」

腰痛は他の部分の疼痛をよくともない
腰〜背部の疼痛は「腰背痛」
腰〜尾底骨部の疼痛は「腰尻痛」
腰〜下肢の疼痛は「腰腿痛」
と呼ばれる。

《内経》
きつい腰痛を「折腰」
きつい背痛を「折脊」
両者ともにつよいものを「育痛腰似折」
と称しており、
腰痛時の症状にもとづいて
「腰痛み俯仰すべからず」
「腰痛み、もって顧くべからず」
「腰痛み、腰中は弓を張り
弦を弩するがごとし」

「腰脊強ばる」
などと述べている。

 

さらに、腰痛が他の部分に
及ぶものについて
「脊痛み腰は折れるに似、
髀はもって曲げるべからず、
膕は結するがごとく、
踹は裂けるがごとし」
「頭項痛み、腰脊強ばる」
「腰痛み、項脊尻背に引く」
「腰痛み、痛みは脊内臁に引く」
「腰痛み、痛は肩に引く」
「腰痛み脊を挟みて痛は頭に至り几几然たり」
「腰痛は少腹に引く」
「腰背痛みて脛痠す」

などと多く記載している。

 

《内経》以後の後世には
《諸病源候論》など多くの書籍で
「卒腰痛(急性の腰痛)」と
「久腰痛(慢性の腰痛)」に分類している。

 

また、《三因方》では病因で分類し、
外感腰痛・内傷腰痛・跌仆内扭
の腰痛を挙げている。

 

(1) 風寒
風寒の邪が侵入して肌表を外束し、
足太陽膀胱経脈と督脈を
阻塞したことによる。

太陽膀胱経は目の内賦に起り脳に絡し、
項下に出て脊を挟み、
背部から腰を通り、
膝膕から足外側に至るので
風寒の邪が侵入すると
軽度であれば腰背が強ばって
痛み項背が
こわばり、
重度であれば腰背が

抜けるように折れるように痛み、
膝膕や足首が裂けるように痛む。

 

督脈は尾底部に起り脊を貫き
項に上り風府に入り、
全身の陽を総督する。

太陽経は三陽経の表で
諸陽の会であり、
督脈と交連する。

それゆえ、風寒の邪はまず
太陽経と督脈を犯し、
「頭項痛み、腰脊強ばる」
という症候をひきおこす。

 

《傷寒論》では「太陽病」として
頭痛・項部の強ばり・腰痛・関節痛・
身体痛と、悪寒・発熱・脈が浮緊
などの症候をあげている。

 

特徴:
急性の腰背部の疼痛と強ばりとともに
項背や下肢の疼痛・甚しければ
全身の関節痛があり
悪寒・発熱・脈が浮などの
表証をともなうことである。

 

 

(2) 風寒湿痺
風寒湿の邪が腰部に侵入して
太陽経脈に停滞し、
経脈の気血を渋滞させることにより
発生する。

風寒の腰痛に対する
治療が不適当な場合も、
慢性化して風寒湿痺を
形成することがある。


風寒湿痺

風邪による風癖(行痺)
寒邪による寒痺(痛痺)
湿邪による湿痺·風湿痺(着痺)
がみられる。

風邪がつよいときは、
疼痛が軽度で遊走性である。

寒邪がつよいときは、
固定性のつよい腰痛を呈し、
暖めると一時的に軽減。
冷やすと増悪し、
脈が沈弦あるいは緊である。

湿邪がつよいときは、
腰の重だるい痛み脈が沈緩を呈する。
《金貫要略》の 「腎着」に相当する。

風寒湿痺の腰痛(腰痺)は、
《素問 輝論》 に
「風寒湿の三気雑して至り、
合して痺をなすなり」
とあるように、
風寒湿の邪が共同して
経脈の気血を渋滞させ、
「通じざればすなわち痛む」
の状態をひきおこしたものである。

 

風寒の腰痛は
《素問・熱論》
「傷寒一日、巨(太)陽これを受く、
ゆえに頭項痛み腰脊強ばる」
とある状態である。

 

両証の鑑別の要点:

風寒
発症が急激で発熱・悪寒
という表証をともなう。

 

風寒湿痺
発病が緩慢で表証を
ともなわないことである。

 

(3) 腎虚の腰痛
腰は腎の外候であり
諸経はみな腎を貫き腰に絡すので、
腎気が虚すと必ず腰が痛む。

《素問·脈要精微論》
「腰は腎の府、
転揺することあたわざるは、
腎まさに懲る」

上まるのは、
腎虚の腰痛のことを述べている。

腎虚とは腎の精気の不足で、
原因としては《素問·上古天真論》に
「腎の蔵衰え、形体はみな極る」
とあるように、
老化による腎気の衰弱は機能が減退する
生理的現象であり、
老人に腰痛が多いのはこのためである。


加齢によらない腎虚の腰痛は

労損が原因であることが多く、
長期間の過度の労動や、
長時間にわたる無理な姿勢、
とくに坐ったまま 立ったまま
腰を屈曲したままなどの
長時間の同一姿勢の持続
によって発生する。

 

さらに多い原因は、
生活の不規則や性生活の過度
(房労・性交)
によるもので、

《素問・上古天真論》
「妄をもって常となし、
酔いて房に入り、欲をもって
その精を喝し、

もってそのほしいまま真(真気·腎気)を
耗散す」

とあり、張景岳も

「欲はもって縦(ほしいまま)
にすべからず、

縦にすればすなわち精竭す」

と指摘している通りである。

 

特徴:
鈍痛が慢性的に持続し、
腰を使うと増強し休めると軽減し、
さらに腰や膝がだるく無力・
頭のふらつき・耳鳴などの
腎虚の症候をともなうことである。

 

腎虚の腰痛には
さらに陽虚と陰虚の違いがある。

 

腎陽虚:
寒がる・四肢の冷え温暖をこのむ・
軟便あるいは夜明け前の下痢 (五更泄瀉)
尿量が多いあるいは頻尿・
舌質が淡・脈が沈細などの虚寒の症候をともなう。

 

腎陰虚:
微熱・五心煩熱・盗汗・尿が濃い口乾・
舌質が紅・脈が細数などの虚熱
の症候がみられる。

 

(4) 瘀血
ねんざによるものは、
突然発症し明らかな既往がみられる。
「閃腰要腰痛」とも言われ、

《素問·刺腰痛論》
「重きを挙げ腰を傷め、
…悪血はこれに帰す」

とある通りである。

ねんざによって経脈が気滞不通に
なったものであるから、
腰に腫脹はなく、体位変換・
深呼吸・咳敷・くしゃみなどで
つよい刺すような移痛が生じる。

 

打撲・外傷による腰痛では、
受傷部位に内出血 (瘀血)
による睡眼がみられたり

青紫色を呈し、
圧痛が顕著で運動障害もつよい。

 

↓腰痛の症例はこちら
https://kaede-an.com/treatmentcollection

 

 

 

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