習慣性流産・不育症
妊娠トラブルにある流産や不育症は
妊娠の喜びからドン底に落とされる程、
ショッキングで悲しい出来事です。
中には不妊を経て妊娠され
流産や不育症でお悩みの方も
いらっしゃると思います。
妊娠は着床することがゴールではなく、
出産に至るまで、如何にトラブルなく
育むかが問題になってきます。
西洋医学の見解では
その原因は様々なことが考えられるが
原因不明と診断されることが多いです。
では、流産などのトラブルは
どのようにして避けられるか?
を考えた時、母体の問題が出てきます。
肩が凝りやすい、腰が痛い、
眠りが浅い、お腹下しやすい、他
臓腑がスムーズに連携できないがために
全身に様々な症状が出てきます。
臓腑の連携がうまくいかないと
胎児への栄養が届かず、育たずに
流れてしまう可能性が出てきます。
母体の臓腑を健康的に円滑に
調えることができれば、
習慣性流産や不育症といった疾患でも
鍼灸で対応できます。
こちらでは
習慣性流産や不育症についての
西洋医学と東洋医学の見解を
ご紹介しております。
西洋医学の見解
流産は妊娠の10%~15%にみられ
特に最近増えているのが、
妊娠初期におこる稽留流産。
これは超音波検査で、
すでに一度は子宮の中に胎嚢
(赤ちゃんが入っている袋)
が確認されているのに、
妊娠6~7週目に胎児や
胎児の心臓の動きが
見えなくなるものである。
妊娠初期(12週未満)の流産は
この稽留流産にあたる。
流産が2回続くことを「反復流産」
3回以上を「習慣流産」という。
流産以外にも子宮内胎児死亡、
出産前後の死亡などが
認められる場合でも、
不育症と診断されることはある。
又、流産や死産、早産を
繰り返すことは不育症と呼ばれている。
原因
染色体異常、子宮の異常、
内分泌の異常
(様々なホルモンのバランスの異常)、
感染症、自己免疫の異常
(抗リン脂質抗体症候群)
などがあるが、
50%~70%は原因不明と言われている。
東洋医学の見解
滑胎とは3回以上連続する流産 (堕胎)
あるいは早産 (小産)を言い、
「数堕胎」とも言われ、
習慣性流早産に相当する。
《金匱要略》
「虚寒相搏ち、これ名づけて革となす。
婦人はすなわち半産漏下し、
男子はすなわち亡血失精す」
とあり、「半産」 とは満期になる前に
胎気が充足せずに早産することで
「小産」 に相当する。
《医宗金鑑・婦人心法要訣》
「妊娠三、五、七か月、
ゆえなくして胎自ずと堕し、
下次に孕を受けるに至り、
また復してかくのごとし。
数々堕胎すれば
すなわちこれ滑胎という」とある。
甚しければ妊娠と流産をくりかえし、
正常な出産ができなくなる。
滑胎ののちに妊娠すると、
腰がだるい・下腹部の下墜感・
性器出血などの「胎動不安」
の症状がみられるが、
反復する流産の既往があるので
一般的な「胎動不安」とは区別がつく。
・腎気不固と脾胃気虚
どちらも気虚の胎気不固に属し、
下腹部の下墜感・疲労倦怠感・
舌質は淡脈は弱などの
気虚の症候を呈するが、
腎と脾胃の違いがある。
腎気虚
胎は腎に関係して
腎気が盛んであれば胎気が固まるが
先天不足・房室不節などで
腎気が不足したり消耗すると、
胎元を滋養できず、
胎気不固となって発生する。
特徴:
腰や膝がだるく無力・めまい・
耳鳴・頻尿・尿失禁などの
腎虚の症候を呈することである。
治法:
補腎固胎
脾胃気虚
脾胃気虚の体質・労役損傷などで、
脾胃が虚して水穀の精微を運化し
気血を生じることができず、
胎元を栄養できなくなり発生する。
特徴:
食欲不振・泥状便・顔が黄色くむくむ
などの脾虚の症候を呈することである。
治法:
補脾益気・固胎
・陰虚火旺と気虚寒凝
いずれも虚証であるが、
陰虚と気虚の違いがある。
陰虚火旺
内傷七情で肝鬱化火したり
房室不節のために腎陰が消耗し、
陰虚火旺となり
胎気を動かすことにより発生する。
特徴:
五心煩熱・両頬部の紅潮口渇・
冷たいものを好んで飲む
舌質は紅・脈は数などの
熱証を呈することである。
治法:
滋陰降火・固胎
気虚寒凝
気血両虚の体質のものが風寒を感受し、
寒邪が胞宮に停滞したために、
胎元が温養されなくなって発生する。
特徴:
下腹部の冷え痛み・寒がる温暖を好む
舌苔は滑脈は遅などの寒証
を呈することである。
治法:
補気温経・固胎
・外傷
転倒・ねんざ・重いものを持ちあげる
長道を歩くなどにより、
直接胎気を損傷して滑胎を生じる。
治法:
扶気養血・ 補腎安胎
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