脱毛症

脱毛症

脱毛症はとても辛い病で、
本来ある物が根こそぎ無くなっていく
のを見るのはとても精神的に堪えます。

“髪は血の余り”と東洋医学では
考えているのですが、
その血が何らかの原因で滞ったり、
血の生成ができなくなったり、
血の貯蔵が空っぽになってしまうと
髪が栄養させず抜けてゆきます。

臨床的には全身の血が潤っても、
土壌(頭皮)がガチガチに
なってしまうと生えてくるものも
生えて来なかったりします。

 

ここでは脱毛症に関する
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。

 

 

 

西洋医学の見解

 

脱毛症は髪の毛が薄くなったり、
毛が生えなくなる髪の毛の病気
(毛髪疾患)で、
脱毛の程度としては
頭の中の1カ所から
数カ所だけが脱毛に
なってしまうものから
広範囲に毛が生えなくなるもの、
また脱毛の経過としては
生まれつきないもの、
徐々に脱毛が出現するもの、
急に突然たくさん
抜けるようになるものまで
さまざまあります。

 

 

 

円形脱毛症

 

主な脱毛症

 

①男性型脱毛症(AGA)、
女性型脱毛症

 

 

脱毛症で最も多いのは、
年齢を重ねるごとに徐々に
頭の髪の毛が薄くなって
最終的に完全になくなってしまう
「男性型脱毛症(AGA)」、
「女性型脱毛症」。

 

 

これらの脱毛症は
「壮年性脱毛症」と呼ばれたり、
男性型脱毛症では額の生え際、
頭頂部(つむじの近く)、
女性型脱毛症では
頭頂部の広範囲に薄毛がみられ
特定の部位に薄毛がみられるため
「パターン脱毛症」
と呼ばれることもあります。

 

 

治療:
内服薬や外用薬など

 

 

 

 

 

②円形脱毛症

 

皮膚科を受診される患者の中で
頻度の高い脱毛症としては
「円形脱毛症」があります。

 

 

円形脱毛症は、
頭の髪の毛が生えている
部分に丸い形の脱毛が
みられることが多いですが、
必ずしも円形の脱毛とならないこともあり、
患者によっては
脱毛の部分が融合して
つながった大きな脱毛となったり、
頭全体に脱毛がみられることもあります。

 

 

 

治療:
脱毛の範囲や年齢に応じて、
内服薬、外用薬、注射、
局所免疫療法、紫外線療法など

 

 

 

円形脱毛症

 

 

 

東洋医学の見解

 

 

 

脱髪とは頭髪の脱毛症のことで、
俗に「鬼剃頭」 あるいは
「鬼舐頭」と称する。

 

 

《内経》 「髪堕」
《諸病源候論》鬚髪禿落候と鬼舐頭候に分け
さらに 「赤秀」「白禿」の脱髪を記して
鑑別の助けとしている。

 

 

明・清の医家は限局性脱髪を
「油風」と称して論述し、
後世に貴重な経験を提供している。

 

 

 

(1)血熱生風

 

精神的刺激により心神が擾乱され
心火が盛んになって血熱生風し、
内風のために脱毛する。

 

 

特徴:
突然に円形あるいは楕円形の脱毛が生じ、
頭皮が萎縮し、自覚症状はなく,
舌質は紅・脈は弦滑などがみられることである。

 

 

 

 

(2) 陰血虚損

 

肝腎陰虚で陰血が不足し、
髪は血の余であり、血虚のために
毛髪が栄養されず脱毛する。
このほか、肌膚腠理が固密でなく
汗が出ているときに風に当り、
風邪が虚に乗じて侵入して
血燥をひきおこし、
毛髪が栄養されず脱毛することもあり、
《諸病源候論・鬼舐頭候》
「人は風邪頭にあり、偏虚する処あれば、
すなわち髪は禿落す」と述べている通りである。

 

 

特徴:
成人に多く、毛髪が細く柔かくて
油状の光沢があり、毛髪の断裂はなく、
脱毛部位は頭部あるいは
両額角に多く、頭皮に油脂が多い・
鱗屑・蜜洋などをともない、
発病は緩慢で慢性に経過し、
持続的に脱毛部位が拡大することである。

 

 

 

 

さらに頭のふらつき・耳鳴・
腰や下肢がだるく無力・舌質は紅・
舌苔は少ない・脈は細数などの
肝腎陰虚の症候をともなう。

 

 

 

 

(3) 気虚両虚

 

慢性病・産後などで気血が虚し、
毛髪を栄潤できなくなって顕髪が脱落する。

 

 

特徴:
年齢に関係なく慢性病や産後に発病し
毛髪が乾燥してつやがなく折断し、
頭部全体が脱毛してまばらになり、
摩擦部の後頭などに著明で
発病は緩慢で慢性の経過をとる。
また、瘙痒などの自覚症はなく、
顔色につやがない・動悸・息ぎれ・
舌質は淡・舌苔は少ない・
脈は細弱など気血両虚の症候をともなう。

 

 

 

 

全頭脱毛症

 

 

(4) 瘀血

 

 

瘀血が停滞して新血が生じず、
髪が栄養されないために脱毛する。
《医林改錯》
「皮裏肉外に血瘀し、
血路を阻塞し、新血は髪を養うこと能わず、ゆえに髪は脱落す」
と述べている通りである。

 

 

 

 

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