食欲不振
食欲不振とは
食べられない・食べても美味しくない・
お腹が空かないといった胃の症状です。
胃の不調ではあるのですが、
東洋医学では他臓腑の状態も
併せて診てゆきます。
というのも、五臓六腑は皆連携して
働いているの考えるので、
他の臓腑の不調が巡り巡って
胃に伝わり、食欲不振を起こす
といったことも考えられるからです。
こちらでは、食欲不振に関して
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。
西洋医学の見解
「食事を摂る気が起きない」
「空腹を感じない」「食べ物が偏る」
など、食欲が沸かない・失った状態
のことをいう。
主な原因として、
消化器の疾患、疲労、薬の副作用、
ストレスなどが挙げられる。
食欲不振が続くと
栄養が不足して体全体に
さまざまな悪影響を与えますし、
食事量や回数が減ることで
便秘になりやすくなる。
また、消化器系の病気の
初期症状として食欲不振が
現れている場合も考えられる。
人間の体は食べること
でしか維持できないため
食欲不振が続くと
体力が消耗して疲れやすくなる。
そして、健康や生活の質を
守るためにも食事はとても重要。
原因
消化器をはじめとした
内臓に問題があるもの、
服用している薬の副作用、
そしてストレスなど精神的なもの
が食欲不振の主な原因。
特に消化器に問題がある場合、
胃がんなど重大な病気の
初期症状の疑いがある。
また、甲状腺機能低下症でも
食欲不振が起こることがある。
治療
薬の副作用が疑われる場合には、
そうした作用を起こしにくい
薬剤に変更する。
薬に問題がない場合には、
胃などの疾患が原因で起こっている
のではないかを確かめるため
胃内視鏡検査を行って食道や胃、
十二指腸の潰瘍やがん、
胃炎などの病変の有無を調べる。
検査で特に問題がない場合、
ストレスによる胃腸の機能低下
も考えられる。
ストレスが原因だと思われる場合には、ストレスをできるだけなくすか、
上手に解消できるように
することが重要になってくる。
うつや不安などによって
食欲不振が起こっていると
見られる際には、
抗うつ薬や抗不安薬を
使用する場合もある。
東洋医学の見解
食欲不振のことを
《内経》 「不欲」
《傷寒論》「不欲飲食」という。
後世にも
「食欲差」「不知飢餓」 「納滞」
「納呆」「差」「不思食」「不能食」
などとさまざまな
呼称が用いられている。
さらに増悪して
食臭を嫌悪したり、
食物をみれば悪心が生じるといった、
悪心・嘔気・嘔吐をともなう場合は
「悪食」「厭食」と称する。
・肝胃不和
欲求不満などで肝気欝結し、
肝気が胃に横逆して発生する。
特徴:
食欲不振に噯気・吃逆などの
胃気上逆をともない、
病状が感情の変化に関連し、
抑うつ感いらいら・怒りっぽい・
両脇部の張った痛み・
胸部の不快感・脈は弦など
肝気欝結の症候をともなうことである。
治法:
舒肝和胃
・脾胃湿熱
飲食の不節制・脂っこいものや
甘いものの過食などによって
脾胃を損傷したり、湿熱の邪を感受し、
湿熱が中焦に蓄積して
脾胃の受納・運化と昇降
の機能を失調して発生する。
特徴:
上腹部が痛えて苦しい・
悪心・嘔吐・脂っこいものを嫌う・
食物の臭いを嫌う・全身倦怠感・
四肢が重だるい・
軟便ですっきり出ないなどの
症候がみられることである。
治法:
清化湿熱
・胃陰虚
外感熱病の後期に、
熱邪によって胃陰が
消耗したために発生する。
特徴:
空腹なのに食欲がなく、
口渇・口唇や舌の乾燥・乾嘔・
吃逆・便秘など胃陰虚の症状
をともなうことである。
治法:
滋陰養胃
・脾胃気虚
飲食不節あるいは労倦によって
脾胃の気が傷害されて発生する。
特徴:
食欲が次第に減少して、
甚しければ空腹感がなく、
食後の上腹部の膨満感・
食べる量が多いと嘔気がある・
息ぎれ・疲労倦怠感などの
脾胃気虚の症候をともなうことである。
治法:
健脾益気
・脾胃虚寒と脾腎陽虚
いずれも脾胃気虚から発展した
陽虚であるから、
食後の腹部膨満・息ぎれ・疲労・
倦怠感ものをいうのがおっくう
などの脾胃気虚の症状がみられる。
・脾胃虚寒
体質が虚弱なひとに
飲食の不節制、納涼、
t冷たい飲物が過ぎるなどの
要因が加わって脾胃の陽虚に進行し、
虚寒が生じたために発生する。
特徴:
持続性の上腹部鈍痛あるいは
一過性の上腹部痛・
手で押えると楽になる・
冷えると増悪し温めると軽快する・
軟便・脈は遅などの症候が
みられることである。
治法:
温中散寒益気健脾
・脾腎陽虚
生ま物や冷たい物の過食あるいは
寒涼の薬物の過用で脾陽を傷害し、
脾虚が長くつづいて腎陽に波及し、
脾腎陽虚となって発生する。
特徴:
慢性の経過をとり腹部が冷えて痛む・
腹満があり時に減少する・
温めると楽になる・口に唾液がたまる・
元気がない・疲労感・
寒がる四肢の冷え・
腰腿がだるく力がない・
あるいは腹痛が腰に放散する
不消化の下痢あるいは早朝の下痢・
甚しければ腹水が生じるなど
の症候がみられることである。
治法:
温補脾腎
・傷食
飲食物の過剰摂取あるいは
消化し難いものを食べて、
食滞が生じたためにひきおこされる。
特徴:
厭食し 上腹部の膨満・
曖気・悪臭ある便あるいは便秘
・舌苔は濁膩・脈は滑
などの症候をともなうことである。
治法:
消食化滞
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