気管支喘息

 

気管支喘息は呼吸器系の病です。
気管支拡張薬で喘息症状を
抑えることはできても
根本的に治ることはありません。

東洋医学では、
呼吸器がうまく機能しないのは
本当に呼吸器だけの問題なのか?
と捉えてます。
肺も含め、五臓六腑は
皆手を取り合って連携して
働いていると考えるので、
どこかの臓腑でエラーが起きると
連携している他臓腑にも
影響が出てきます。

肺も様々な臓腑と連携しているので
他臓腑の負担が肺に影響することは
よく見受けます。
なので、肺ばかり整えても
症状が一向に改善しない場合は
肺以外の臓腑の調子を診ることで
根本的な原因を突き止めることが
できることがあります。

 

ここでは気管支喘息の
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。

 

 


西洋医学の見解

 

気管支喘息
空気の通り道となる
気管支が狭くなり

ヒューヒュー・ゼーゼーと
喘鳴がして
呼吸が苦しくなる
発作状態を繰り返す病気。

 

気管支喘息は気管支に
慢性的な炎症が起こっており
この炎症のためちょっとした
刺激が入っただけでも

気管支の壁が腫れたり、
痰が分泌されたり、

気管支の周りの筋肉が
キュッと縮もうとしたり

気管支が狭くなって喘鳴が
起き発作が起こります。

 

 

そのため、炎症を治さない限り
いつまでも発作が出現し、
慢性的に炎症が続いてしまうと
気管支自体が硬くなり
治療が難しくなる

「リモデリング」といった
状態に陥ってしまいます。

 

 

原因

チリダニやハウスダスト、
ペットのフケ、カビなどの
アレルギー
によることが多いのですが、
その原因物質が
特定できないこともあります。

 

診断


自覚症状
発作性に呼吸困難や喘鳴や
咳を認めます。

特に一日のうちで
夜間から早朝に症状が
悪化するのが特徴。

 

検査

(1)肺機能検査
 発作時には1秒率が減少します。
これは肺活量
(思い切り吸った状態から
一気に息をはききるまでに
はける空気の量)のうち

1秒間にはける割合で通常は
70%以上が正常で、

発作を生じていない時には
1秒率は正常なこともあります。

 

 

(2)気道可逆性試験
発作が生じていない時でも
喘息の方は気管支拡張剤を吸入すると
肺機能がよくなります。

これを確認するため
気管支拡張剤
(短時間作用型のβ2刺激薬)

の吸入15~30分後に
肺機能検査を行います。

 

 

(3)ピークフロー
自宅で出来る簡易の肺機能検査器具
(ピークフローメーター)を用いて
ピークフローすなわち
思い切り息をはいた時の

空気の流れの速さ(L/分)を測定します。

 

 

(4)血液検査
アレルギーに関連した
タンパク質(IgE)や

好酸球という細胞の増加がないか、
患者さんが何に対して
アレルギーがあるのかを
調べます。

 

 

(5)喀痰検査
痰の中に好酸球という細胞の増加や
アレルギーに関連した物質が確認されることがあります。

 

治療

主に治療に使われるのは
ステロイド薬と気管支拡張薬。

・気管支拡張薬
吸入薬、貼付薬、内服薬があり、
ステロイド薬は吸入で
使用するのが一般的で、

最も副作用の少ない方法です。

タバコは喘息を悪化させるため、
患者本人だけでなく
周囲の人も禁煙協力が必要です。

 

気管支喘息は
高血圧や糖尿病のように

慢性の病気であり、
継続的な治療が必要なため

発作が起きないように
適切な薬を適用することで、

健常者と同様の生活を
送ることができます。

 

症状が落ち着いてからも
きちんと診療を続け、

自己判断で治療を
中断しないことが重要です。

 

 

 

東洋医学の見解

哮とは、呼吸が促迫して
呼吸困難となり
端鳴をともなうもので

端息発作に相当し、
必ず端(呼吸困難呼吸促迫) を
ともなうところから、

「哮喘」 とも呼ばれる。

古医書にも
多くの名称が使われており

《素問》「端鳴」

《金置要略・
肺痿肺癰咳嗽上気病脈証並治》

「喉中水鶏声」

《諸病源候論》 「呷嗽」

 

元代の朱丹渓がはじめて
「哮」と称し

以後は 「哮喘」「哮吼」「吼喘」
などと
呼ばれるようになった。

哮には必ず端をともなうが、
端には哮がみられる
とは限らないので、

哮と喘を区別する必要がある。

 

(1)寒痰阻肺、熱痰阻肺

喘息発作ではもっともよく見られ、
《証治滙補・哮病》
「哮は痰喘の久にして
常発するものたり、

内は壅塞の気あり、
外は非時の感あり、

膈は膠固の痰あるにより、
三者は相い合し、
気道を閉拒し搏撃して声あり、

発して哮病をなす。」

「膈は膠固の痰あり」
が共通の病理であるが

寒と熱によって
痰の性質が変わってくる。

 

 

寒痰阻肺
白色で粘稠、
多量のうすい泡沫状の痰で

顔色が暗く青い、
口渇がなく温かい飲み物を
欲する寒証を伴う。

 

 

熱痰阻肺
黄色粘稠な痰でスッキリ出きらず、
顔色は紅潮し、口渇して水分を欲する。
舌質が紅、舌苔が黄などの熱証を伴う。

 

 

 

(2)寒熱錯雑
熱痰が肺に鬱滞した状態だったり、
寒痰が鬱して化熱して
肺に停滞した状態のものが

風寒の邪を感受して
束表されたために生じ

「寒包火」と称される。

 

特徴:
黄色粘稠な痰、
白色粘稠で吐き出し辛い痰、

胸中が熱苦しいといった
痰熱の症候と同時に

悪寒・発熱・無汗・頭痛・
身体痛などの

表寒の症候がみられ
「表寒裏熱」に相当する。

 

 

(3)陽虚痰阻、陰虚痰阻
虚中挟実・本虚標実で
全身症状が鑑別の決め手になる。

 

 

陽虚痰阻
陽虚のため水湿の気化が
不足し痰が生じ、

痰湿が肺を阻害し発生。

 

特徴:
呼吸困難とともに息切れがあり、
呼吸が続かず、働くと増強。
痰が白色でうすく、寒がる。
四肢の冷え・味がない・口渇がない・
尿がうすく多い・軟便・
舌質が淡白で
胖大かつ
嫩か淡紫・脈が沈弱で
無力などの
虚寒の症候を呈する。

 

陰虚痰阻
陰虚のために津液が
濃縮され痰が生じ

痰が肺を阻滞して発生。

 

特徴:
痰が黄色粘稠で、
るい痩・咽の乾燥・潮熱・

盗汗・五心煩熱・午後に頬が紅潮。
舌質が紅で乾燥し、脈細数など。

 

 

(4)寒痰阻肺と陽虚痰阻の違い

どちらも白色の痰であるが
実寒と虚寒の違いがある。

 

寒痰阻肺は気虚の症候がみられず
陽虚痰阻は気虚の症候
(息切れ、倦怠感、自汗、
動くと呼吸困難など)がみられる。

 

 

(5)熱痰阻肺と陰虚阻肺の違い

どちらも黄色く粘稠な痰で
熱を伴うが実熱と虚熱の違いがある。


熱痰阻肺

陰血不足の症候がみられず
陰虚痰阻では、るい痩、咽の乾燥、
潮熱、盗汗、五心煩熱、頬部の紅潮
舌質が紅で乾燥、脈が細数などの
陰虚内熱の症候を伴う。

 

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