結膜炎
結膜炎には細菌性のものや
ウイルス性のものがあります。
罹ってしまったものは
仕方ないところはありますが、
問題はその後の経過が
人によって異なってくる点です。
体がしっかりしている方は、
結膜炎に罹患しても一定期間経てば
治癒することが多いですが、
体が弱い人は、何日経っても
なかなかスッキリしません。
体の強い・弱いというのは
免疫力もそうですが、
体力面のことや忍耐力などの
精神面の強さも関わってきます。
では、その体力・精神力が
関わってくるところはどこか?
を考えた時、東洋医学は五臓六腑
内臓の状態を重視します。
内臓の働きが強いか弱いかで
体力面・精神面に反映されると
言っても過言ではありません。
内臓の働きを強くすれば、
免疫力もついて体に入った
細菌やウイルスも
軽々退治できるわけです。
(コロナの無症状の方や
重篤な症状の方の違いが
あるとすればそこだと考えてます)
結膜炎といった目の疾患でも
内臓に働きかける経絡経穴を
用いることで、体の中から
代謝を良くできれば、
目をスッキリさせることが可能です。
ここでは、結膜炎に関しての
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。
西洋医学の見解
白目の表面と
上下のまぶたの裏側を覆っている
半透明な膜(眼瞼結膜)を結膜と呼び、
ここが赤く充血して
炎症を起す病気を結膜炎という。
感染で起こる細菌性結膜炎と
ウイルス性結膜炎、
アレルギーで起こる
アレルギー性結膜炎など
他にも様々な結膜炎がある。
細菌性結膜炎
膿のような目やにが多く出て、
白目が充血する。
原因:
瞼の周りや身の周りに存在する細菌で、
黄色ぶどう球菌、表皮ぶどう球菌
によるものや、
淋菌やクラミジアなどの
微生物による場合もある。
ウイルス性結膜炎
目やにが出て白目が赤くなる。
原因:
アデノウイルス、エンテロウイルス
などのウイルス感染で起こり、
さまざまな種類の結膜炎がある。
特に、はやり目とよばれる
流行性角結膜炎や急性出血性結膜炎は
非常にうつりやすく、
学校感染症に指定されており、
感染した場合、
学校や仕事を休む必要がある。
また、家族の方にも移らないよう
タオルを別にしたり、
ご家族自身が目を触らないようにして
よく手を洗うなどの配慮が必要。
流行性角結膜炎(はやり目)
原因:
アデノウイルスの感染
によって起こる結膜炎。
感染力が非常に強く、
はやり目の人が目を触った手で
モノを触り、他の人がそれに触って
目をこするなどすると、
高い確率で感染する。
タオルなどを介しても感染するが
空気感染はしない。
咽頭結膜炎(プール熱)
感染してから5〜7日で症状が出る。
充血や目やになどの
結膜炎の症状のほか、
喉が赤くなり高熱が出たりする。
プールなどで広まることの多いため
プール熱とよばれる。
急性出血性結膜炎(アポロ病)
エンテロウイルス70の感染で起こる。
感染してから1日で症状が出てきて、
白目に出血をおこし、
強い充血と目やにが出てくる。
アレルギー性結膜炎
アレルギーは、ある物質に対して
過敏に体が反応して
炎症を起こす免疫反応。
原因となる物質が結膜につくと、
かゆみや充血をおこす。
約20%の人にアレルギー性結膜炎
があるといわれている。
季節性と通年性があり、
季節性の原因で多いのは、
春に症状がでるスギ花粉。
夏から秋にかけて
イネ科の植物などによるものもある。
通年性の原因は、
ハウスダストやダニ、
また動物の毛などがある。
コンタクトレンズ装用者では
レンズの汚れが原因のこともある。
東洋医学の見解
目の充血を目赤、目の異物感を目乾渋、
目の痒みを目痒と呼ぶ。
風熱と時邪
いずれも外邪によって生じるが、
病因・病理機序・症状・
病勢などが異なる。
・風熱
風熱の邪を感受したために目赤が発症。
《医宗金鑑・眼科心法要訣》
「この証は肺客邪熱に原づき、
外は風邪を召す」
とある通りで、風の症候が顕著である。
急性カタル性結膜炎などに相当する。
また、風熱の邪が肝胆に入り
経絡を伝い目竅を犯し目痒を発生する。
特徴:
発症は急激であるが伝染性は弱く、
球結膜の充血・熱い流涙とともに
表寒の症候を呈することである。
両眼のつよい瘙痒と灼熱感・
羞明・流涙があり、青少年に多発し、
毎年春夏に症状が増悪することである。
治法:
硫風清熱
・時邪
時気の毒を感受したために発症し、
熱盛を呈する。
《医宗金鑑・眼科心法要訣》
「天行赤眼は、四時流行の風熱の毒、
伝染して成る」 とある。
流行性角結膜炎などに相当する。
特徴:
発病が急で伝染性が強く広汎に流行し
球結膜の充血・灼熱感を呈し、
粘稠な涙が出て起床時には
両眼瞼がはりついていること
が多いことである。
重症度は邪の深浅と体質によって異なり
正気がつよければ5~7日で、
病邪が正気に勝るときは
約2週間で治癒する。
治法:
硫風清熱解毒
邪熱伏絡と酒毒内藩
いずれも緩慢に
発症し目赤もつよくない。
・邪熱伏絡
炎症性眼疾患の治療を誤ったために
変化したか、砂煙や火に
長時間さらされたり、
長期間微細な作業を行って
目を使いすぎたりしたために、
熱欝血滞して発生する。
特徴:
球結膜が淡紅で、
表面に小血管が縦横に蛇行し、
長期にわたることである。
治法:
捜熱散瘀
・酒毒内蘊
酒を嗜好することにより
酒毒が欝滞し脾弱肝旺となって
湿熱が両目に上行すること
によって生じる。
《張氏医通・巻八・目赤》
「人に白馬の漸々黄赤なるものあるは
みな酒毒たり、脾経湿傷し、
肝胆の邪火は肺経に
上溢するがゆえなり」
特徴:
両眼が次第に黄赤を呈し、
血管拡張は明らかではなく、
酒を嗜好していることである。
治法:
清熱利湿
肝胆実火と肝腎陰虚
いずれも臓腑の機能失調
によるものであるが虚実の違いがある。
・肝胆実火
内傷七情などで肝欝化火し、
肝胆の火熱が目に
上衝したために生じる。
《諸病源候論・目病諸候》
「およそ人の肝気は目に通じ、
肝気有熱を言えば、熱は目に衝し、
ゆえに目赤をなす」
特徴:
両眼の充血と張った痛みが生じ、
口が苦い・咽の乾燥・
いらいら・怒りっぽい・
脇肋部の脹った痛みなどを
ともなうことである。
治法:
清泄肝胆
・肝腎陰虚
精血が不足して目を栄養できず、
さらに虚火が上炎するために発生する。
特徴:
1年に数回間歇的に
両眼の球結膜が淡紅色を呈し、
疼痛はともなわず
腰や膝がだるく無力・潮熱・ 盗汗
などを呈することである。
治法:
滋陰養血・清肝降火
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