変形性股関節症
変形性股関節症の方も多く相談受けます。
肩関節と同様、人間の関節の中で
とても大きい関節である股関節。
重たい上体を支えているため、
股関節にかかる負担は
多大なものがあります。
東洋医学の痛みの概念として、
“不通則痛”
“不栄則痛”
というものがあります。
気血が詰まって通らないと痛いよ。
気血で栄養できないと痛いよ。
という意味で、何か詰まって痛いか?
栄養できなくて痛いか?
という原則があります。
股関節はとても大きい関節なので、
色んな老廃物が
溜まりやすい場所でもあり、
内臓が弱って気血が生成できないと
こんな大きな関節栄養しきれない
ということもあります。
(どちらかと後者の方が
多い気がしますが。)
ここでは変形性股関節症の
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介いたします。
西洋医学の見解
成人の股関節疾患の中で、
もっとも多くみられる疾患。
高齢者に多く人口の高齢化とともに
年々増加傾向にある。
原因によって一次性のものと
二次性のものとに分類され、
二次性変形性股関節症の割合が
とても高く、女性に多いのが特徴。
股関節は大腿骨の上端にある
骨頭という球状の部分が、
骨盤の寛骨臼と呼ばれるソケットに
はまり込むような形になっている。
正常な股関節では、
寛骨臼が骨頭の約4/5を包み込んで
関節を安定させており、
更に周辺の筋肉と協調することで、
脚を前後左右に動かすことができる。
・一次性変形性股関節症
原因がわからずに
関節軟骨がすり減り骨が変形する。
・二次性変形性股関節症
生まれつきの股関節の脱臼
(先天性股関節脱臼)や
股関節の発育が悪いこと
(臼蓋形成不全)などが
原因で発症するもので、
関節にかかる体重を吸収して
すべりをよくしている関節軟骨が
傷ついたりすり減ったりして、
骨が壊れたり、また棘のように
増殖する(骨棘)ために生じる病気。
痛みが出たり、安静により
痛みが軽くなったりする。
これをくり返しながら、
ゆっくりと進行していく病気で、
まれに数ヶ月のうちに
急激に悪化することもある。
治療
保存療法
生活指導
(体重コントロールや杖の使用など)、
運動療法(筋力訓練やストレッチング、
水中運動など)、温熱療法、
痛み止めの薬などの
薬物療法などがあり、
患者さんの全身状況や
病気の状態をもとに、
適する保存療法をまずおこなってみる。
関節障害が進行し、
保存療法をおこなっても
十分な効果がなく、
歩行や日常的な動作、
仕事や社会活動に支障が強い場合、
人工股関節置換術が適応される。
東洋医学の見解
古典では痺証・痛風などの
病門中に記載がみられる。
・寒湿と湿熱
いずれも外邪によるものである。
湿気の多いところに住んだり、
雨露にさらされたり、
水中に長くつかったりして、
湿邪が皮膚筋肉に侵入して発生するが、
体質が陽虚に偏している時は寒湿となり
陰虚に偏しているときは湿熱となる。
いずれの場合も湿邪が絡脈
を阻滞したために股関節の腫脹・
疼痛を来たすほか、
関節の運動障害などがみられる。
・寒湿
下肢の冷え・寒冷による
症状の増悪・脈は弦緊または弦遅・
舌苔は白賦または滑を呈する。
治法:
除湿散寒
・湿熱
患部に熱感がある・熱感がつよい疼痛と
天候の変化の関係は強くない・
脈は弦滑数・舌苔は黄臓などを呈する。
治法:清熱祛湿
瘀血
病因は複雑で外邪が停滞して
絡脈を療滞したり、
内傷七情の肝欝気滞で血瘀が生じたり、
捻挫などの外傷によって血瘀が生じ
血瘀が経脈を阻滞させたために
痛みが発生する。
特徴:
下肢の腫脹・疼痛あるいは刺痛があり、
夜間に増悪し、脈が渋舌質は紫・
患側下肢の皮膚の硬化などを
呈することである。
治法:
活血化瘀
労倦
労倦による腿腫痛もあり、
長期の起立や歩行によって
筋脈が障害され、
血が股関節に鬱滞したためにおこる。
特徴:
疼痛部に青色の血管拡張がみられ、
顔色が青紫を呈することである。
治法:
行気和血・通暢筋脈
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