夜尿症

 

夜尿症

夜尿症は幼児によく見受けるが
幼児はまだ、腎ー膀胱が未発達なので
病的な症状ではないです。
小学生、中学生、高校生になっても
夜尿がある場合は、
夜尿症と位置付けて診る必要がありそう。

泌尿器の問題なので、西洋医学では
腎ー膀胱だけを診ることが多いが、
東洋医学では全体像を診ることを
大事にします。
五臓六腑は皆手を取り合って
働いているので、
腎ー膀胱だけでなく、他臓腑の問題が
結果的に腎ー膀胱に
影響することがあります。

ここでは夜尿症についての
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介いたします。

 

 

 

西洋医学の見解

 

子どものおねしょ(夜尿症)の定義

 

「5歳以上で1か月に1回以上の頻度で
夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが
3か月以上つづくもの」

 

7歳児における
夜尿症の有病率は約10%とされ、
その後は年間約15%ずつ
自然治癒していくものだが
0.5~数%は夜尿が解消しないまま
成人に移行するといわれています。

 

 

原因

 

夜尿症は、夜間睡眠中の覚醒障害
(容易に起きない)を基盤として、
抗利尿ホルモン(夜間睡眠中に多く分泌され、
尿量を少なくするホルモン)
の夜間分泌不足による
尿量増加や排尿抑制機構
(尿を膀胱に溜めておく機能)
の未熟性による膀胱容量低下が加わって
起こると考えられています。

 

夜間尿量が多くても
尿意で覚醒してトイレで排尿するか、
膀胱容量が夜間尿量を上回れば、
夜尿は認めません。

 

また膀胱容量が小さくても
夜間尿量がそれ以下であれば
夜尿はみられません。

 

 

治療

 

生活指導として3つの基本方針

 

①中途覚醒を強制しない

②夕方以降からの飲水を控える

③膀胱容量の拡大、
つまり尿を膀胱に
十分に溜められるようにする

 

上記3つを目的とした
排尿抑制訓練を行います。

 

生活指導で改善がなければ
薬物療法やアラーム療法を検討します。

 

 

治療法は病型によって使い分けます。

 

 

・多尿型
抗利尿ホルモンを
夜寝る前に補充する治療

 

・膀胱型
抗コリン薬による尿を
膀胱に溜めておく

体の機能の改善やアラーム療法

 


・混合型

これらの治療法の併用を行う。

 


アラーム療法とは、

夜間睡眠中のおもらしの始まった時に
アラームのスイッチが入り、
お子さんを音や振動で覚醒させるもので、3か月で60%程度のお子さんに有効。

 

 

夜尿症

 

 

東洋医学の見解


小児遺尿とは、

3歳以上の小児が睡眠中に
排尿することを言い
「夜尿症」 とも呼ばれている。


《霊枢経》

「膀胱約さずして遺溺をなす」


《諸病源候論・小児病諸候》

「膀胱は津液の腑たり、
腑すでに虚冷し、陽気衰弱すれば、
水を約することあたわず、
ゆえに遺尿せしむるなり」
という記載がある。

 

 

小児では腎気が充実しておらず
膀胱も未熟であるために
成人よりもはるかに遺尿が多発する。

 

 

 

(1)腎陽虚と肺脾陽虚

 

いずれも虚証であり、
気虚不摂あるいは陽虚の
温化不足によって生じる。

 

 

腎陽虚

先天的虚弱児にみられ、
下焦の腎陽が虚しているために
水液を蒸騰気化し
膀胱を制約することが出来ず発生する。

 

 

特徴:
四肢の冷え寒がる・脈は遅で無力・
寒くなると夜尿が増加するなどの
寒証がみられることである。

 

 

 

肺脾気虚

後天的な栄養不足や
長期の咳嗽・呼吸困難・嘔吐・下痢などで
宗気が不足し気虚下陥して
水を制約することができずに発生する。

 

特徴:
動くと汗が出る息切れ・声に力がない・
食欲不振・泥状〜水様便などの
宗気不足・気虚下陥の症状がみられ、
寒証は明らかでないことである。

 

 

 

夜尿症

 

(2) 肝経鬱熱

 

湿熱が停滞して肝経を犯したり
肝鬱化火して膀胱に影響し、
水を蔵することができず遺尿が生じる。
本症はまれである。

 

特徴:
尿が濃く臭いがつよい・尿量は少ない・
手足のほてり・夜間におびえる・
舌苔は黄・脈は滑数などの
症状がみられることである。

 

 

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