痛風
痛風とは、その名の通り
風があたっても痛い病で、
尿酸結晶が関節に付着して
痛みを発する現象です。
体に余分な老廃物が溜まった時に
出やすい傾向にあり、
内臓の代謝が良ければ
老廃物が溜まることなく
過ごせるわけです。
では、老廃物を処理する
内臓の弱りを診ることが
大事になってきますが、
東洋医学では全ての臓腑は
連携して働いているものと考えるため
食べ過ぎ飲み過ぎによる
胃腸の疾患であっても、
他臓腑の様子も同時に診ていきます。
他臓腑の不調から胃腸が過剰に
飲食物を欲する可能性もあり、
胃腸だけ整えても改善しないことは
多々あります。
ここでは痛風に関する
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。
西洋医学の見解
暴飲暴食した翌朝、
急に足の親ゆびのつけ根が
赤く腫れて痛くなることがある。
風が吹いても痛いということで、
「痛風」と呼ばれており
正確に言うと「痛風発作」
という発作のことを指す。
痛風発作とは、
痛風関節炎とも言われ、
尿酸の結晶が
関節に沈着することで起こり、
ある日突然腫れと激痛を起こす。
前日まで何も症状がなくても
突然やって来るのが痛風発作である。
足の親ゆびのつけ根以外に、
足関節、足の甲、アキレス腱のつけ根、
膝関節、手関節にも
激痛発作が起こることがあり、
耳介に痛風結節や
尿路結石が出来ることもある。
発症場所は
足の親指の付け根が最も多く、
痛むのは通常は一度に一カ所だけ。
発作は1~2週間程度で治るが、
根本にある高尿酸血症を放っておくと
発作を繰り返すことが多い。
原因
痛風の原因となる
尿酸の大本は「プリン体」。
プリン体は運動や臓器が働くのに
必要なエネルギー源であり、
常に体内で作られている。
プリン体は主に肝臓で代謝され
尿酸になるが、さまざまな理由で
尿酸が血液中に多い状態が続くと、
関節にも尿酸がたまるようになる。
すると、関節の中で尿酸が結晶化し、
これを白血球が処理する際に
炎症を起こすため「痛風」になる。
治療
痛風発作の前兆として、
関節がうずく様な症状が出た時に
コルヒチン錠を使うと
痛風発作をおさえる事ができる。
疼痛が出てしまった場合には、
非ステロイド性抗炎症剤
(インドメタシンなど)を服用。
この場合、
だいたい数日間で痛みは消えるが
痛みが消えたからといって
痛風が治った訳ではなく、
痛風発作の原因である
尿酸値を正常値範囲に
抑えておかなければ
発作を繰り返すだけではなく
様々な内臓障害がでてくる。
尿酸値を下げる薬物療法は、
痛風発作がおさまってから開始する。
東洋医学の見解
痛風は痺証に分類され、
関節に激痛が生じ進行が速いので、
白虎歴節ともいう。
疼痛が比較的激しいところから
痛痺(《医学正伝》)というものもあり、
また疼痛が走り動き定まらない
ところより風痺(《景岳全書》)
というものもある。
【痛風】
・朱震亨《丹溪心法・痛風》
“四肢百節走痛是也、
他方謂之白虎歴節風證。”
・戴元禮《証治要訣・痛痺》
“筋骨疼者、俗呼為痛風。”
《医宗金鑑・雜病心法要訣・痺病總括》
“風勝行痺寒痺痛”
・風痺(行痺)
「その風気、勝れる者は行痺と為す」
風痺を発症させる主因は風邪であり、
二次的な原因は寒湿である。
風邪の動的性質から、
風痺は「行痺」 ともよばれる。
風痺の場合、邪気がまだ
体内深部にまで侵入していないため、
気血経脈に対する影響は比較的少なく
ほかの痺証にくらべれば治癒率は高い。
・寒痺(痛痺)
「それ寒気の勝れる者は痛痺と為す」
寒痺の主因は寒邪であり、
風邪と湿邪は二次的な原因である。
寒痺の特徴は疼痛が強いことで
このため寒痺を「痛痺」ともよぶ。
寒邪は、
まず人体の陽気を損傷するので、
治療には多くの場合、温熱薬を用いる。
また「寒は凝滞を主る」 ため、
血行が緩慢となり
瘀血が生れることが多く、
この点も考慮する必要がある。
寒痺は病邪が
人体の奥深くにまで侵入し、
気血経脈に対して
大きい影響を与えるため、
風痺にくらべて治療は困難である。
・湿痺(着痺)
「その湿気の勝れる者は著痺と為す」
湿痺のおもな原因は湿邪であり、
風邪と寒邪は二次的な原因である。
「湿は重濁粘滞を主る」ので、
着痺ともいわれる。
湿邪はすべての痺証に
多かれ少なかれ存在する邪気であるが
湿邪の多い湿痺は長期化しやすく、
完全に治すことは難しい。
利湿作用のある去風湿薬と、
脾を調節し湿の運化を強める
健脾益気薬を併用する。
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