頭痛

頭痛

頭が痛いと一口に言っても
様々な痛みの出方があります。
頭がガンガン痛い、
締め付けられるような痛み

頭が重痛い、
痛みが偏って出て辛い、他。

頭痛について
西洋医学と東洋医学の見解を
のべて参ります。

 

西洋医学の見解

頭痛には複数の種類があり、
大きく分類すると


「日常的な頭痛」

「脳の病気による頭痛」
「慢性頭痛」の3つに分類され

さらに慢性頭痛は
「緊張型頭痛」
「片頭痛」
「群発性頭痛」
の3つに分けられる。

日本人の多くの人が
慢性頭痛に悩んでいるといわれるほど
頭痛は一般的な病で
ほとんどは医療機関を
受診することなく、

薬局で購入した痛み止めの頭痛薬を
服用するなどして
対処している。

ただ、頭痛といっても
突然の激しい頭痛にはクモ膜下出血、

だんだん強くなる頭痛には脳腫瘍など、
重篤な病気が潜んでいる
可能性があるので
注意が必要である。

 

原因

日常に起こる頭痛は、
風邪や二日酔いが背景にあり、
脳の病気によって起こる頭痛は、
くも膜下出血・脳出血・髄膜炎・
慢性硬膜下血腫などの疾患が
原因に挙げられる。

慢性頭痛の中で一番多いといわれる
緊張型頭痛は統計的に
10~50歳代の女性に多く見られ、
主に精神的・身体的ストレスにより
発生することから
「ストレス頭痛」とも呼ばれている。

 

片頭痛も女性に多く見られ、
機序の解明はされていないが、
月経前後に発症することが多いため、
女性ホルモンとの関与も示唆される。

また頭痛の前に首や
肩のこりを感じることが多く、
片頭痛でもよくみられる。

 

群発頭痛は青年~中年男性に多い。
普段から飲酒するなどの生活習慣が
その背景になっていることが多い。

 

症状

頭痛の症状は個人差が大きいが、
典型的な症状は以下の通りである。

 

緊張型頭痛


後頭部から首にかけて頭全体に、
頭重感や締めつけられるような
痛みを感じる。

肩こり・耳鳴り・目の疲れ・めまい
などを伴い、数ヵ月間痛みが
続くこともある。

 

片頭痛


頭の片方にズキズキと
脈打つような痛みを発する。
何もしなければ1週間〜数週間の
ペースで痛みが現れ、
数時間~数日間継続することもある。
吐き気や嘔吐を伴うことがあり
痛みの程度は重い。

 

群発性頭痛


片眼がえぐられるような、
極度に激しい痛みを感じ、
同じ側の目に充血・涙・鼻汁など
の症状が現れ、
短時間で和らぐ場合や、
1時間程度痛みが引かない時もある。

 

診断

どんな時にどんな痛みを感じるか?
問診時に医師に詳しく
説明することが大事です。

頭痛といえど、
命に関わる重篤な疾患が
潜んでいる場合もあるため、
必要に応じてCTやMRIを
用いた画像診断、血液検査や
脳波検査などを実施する。

 

今までに感じたことのない
激しい頭痛を突然生じた場合は、
くも膜下出血を発症している
可能性もある。


手足の麻痺や眩暈などの
随伴症状がある頭痛が生じた場合は、
脳腫瘍や脳血管障害などの
疾患が疑われる。

 

徐々に痛みが増す頭痛や、
早朝から朝方にかけて生じる
頭痛には脳腫瘍が潜んでいることも
考えられる。

こういった症状がみられる場合は、
早急に医療機関を受診して
適切に対処することが重要。

 

治療

医療機関で治療する場合は、
主に薬物療法が用いられる。

 

緊張型頭痛


痛みを止める消炎鎮痛薬や漢方薬、
筋肉のこりをほぐす筋弛緩薬、
緊張型頭痛の原因となり得る
不安やうつ状態を改善する
抗不安薬・抗うつ薬などが用いられる。

こうした薬物療法に加えて、
運動によって首や肩の筋肉を
ほぐしていくことや、
首や肩の筋肉に負担がかからないよう
姿勢を矯正することも大切。

 

片頭痛


発作時に鎮痛剤を使用し、
頭痛頻度が多いときは
予防薬を使用していく。
近年は内服薬以外にも、
注射薬や点鼻薬などさまざまな
方法で投与できる専用薬もある。

 

群発性頭痛


発作時に15分間程度の酸素吸入や、
血管を収縮させる注射などが
有効とされている。

 

予防

緊張型頭痛
体操やストレッチなどで肩や
首のこりをほぐす。
長時間デスクワークを行う際は
適度に休憩を入れること。

 

また、湯を張った湯船に
ゆっくり浸かり疲れを取ること。
飲酒は適量に控え、
休日はリフレッシュして
精神的ストレスを改善すること。

 

片頭痛
チョコレートなどのお菓子類、
化学調味料などの食べものを控える。

 

群発頭痛
群発期間中は禁酒する。

 

 


 

東洋医学の見解

古代の医書には
「真頭痛」「脳痛」と記載されており、

《霊枢 厩痛篇》
「真頭痛は、頭痛甚しく、
脳ことごとく痛み、
手足寒えて節に至り、死すとも治せず」


《中蔵経》

「脳痛を病み、
その脈緩にして大なるものは、死す」

とあるように重篤な頭痛を指している。

また、「首風」「脳風」「頭風」
などの名称もあるが、
いずれも頭痛を含めた症状である。

《素問・風論》
「首風の状は、頭面汗多く、悪風し、
まさに風に先だつこと
一日にしてすなわち

病甚しく、頭痛はもって
内より出ずるベからず」

後世には
「頭風」「脳風」を
頭痛の1種とみるものが多い。

《奇効良方 頭痛》
「およそ邪は人をして頭痛せしむるは、
その邪一なり、
ただ新久去留の分あるのみ。

……深くして遠きは頭痛たり、
その痛は作止常ならず、
癒えてのち触に遇えばまた発するなり」


と記されている。

頭痛は多種の急性・慢性疾患に
よくみられる症状であるが、
本項では頭痛が主症状である場合
について述べる。

(1) 外感風寒・外感風熱・
外感風湿

いずれも外感により生じる。

《蘭室秘蔵・頭痛門》
「風は上よりこれを受く」
「高鐘の
上、ただ風のみ到るべし」
とあるように、
外感の頭痛はすべて
風邪によるものであるが、

風邪は寒邪・熱邪・湿邪を
ともなうことが多いので
症状に違いがみられる。

外感風寒


風寒の邪によるもので、
風に当って冷えた後に生じる。

太陽経は表を主り、
経脈は上は巓
頂を循行し下方は
項背をめぐるので、
風寒の邪が侵入して
清陽を阻遏
すると、
頭痛が生じて痛みが項背部に放散する。寒邪には収引の性質があるので、
疼痛
に緊束感がある。

《証治滙補・頭痛》
「寒によりて痛むものは、
絀急して悪寒戦慄す」

と指摘している。

「寒」は陰邪であるから
暖めると緩解するので、
帽子を被って風
や寒さを
避け保温しようとする。


風寒が表にあり化熱していないので
口渇はみられない。

脈が浮は邪が表こあることを、
脈が緊は寒邪をあらわし、
舌苔が薄白は風寒が
表にあるこ
とをしめしている。

 

弁証の要点:
寒がる身体が冷える
しめつけるような頭痛・暖まると
緩解するが風に当ったり
冷えたりすると増悪するなどを
呈することである。

 

風熱
外感風寒の化熱あるいは
風熱の邪によって生じる。


熱邪は陽邪で昇散の
性質があるので、
頭痛に張った感じをともない、
温めると服り裂けそうに痛む。

熱が上方を犯すので目の充血・
顔面の紅潮が生じ、
風熱が衛気を侵すので発熱・
悪風があらわれ
る。

脈が浮で数・舌尖は紅舌・
苔が薄黄は風熱の表証を示す。

 

弁証の要点:
頭が張ったように痛み、
温めると増悪して賑り裂けるように
痛むことで
ある。

 

風湿


風湿の邪が上犯し
清竅を蒙閉したことにより生じるので、
頭がしめつけ
られるように重く痛む。

《証治獲補 頭痛》
「湿によりて痛むものは、
頭重して天陰に
て甚に転ず」
とあるように、
雨天などで湿度が高くなると
頭痛が激しくなる。

湿邪は性質が粘賦であるから、
胸中を阻滞して胸苦しい感じが生じ、
中焦を侵して
胃部の膨満食欲
減退があらわれる。

脾は四肢を司るので、
湿が脾陽を阻害すると、
体幹や四肢が重い。

湿邪により清濁を分泌する機能が
失調するので、
尿量減少・泥状便・舌苔が白賦・
脈が濡滑
となる。

弁証の要点:
しめつけられるように
頭が重く痛み、
雨天に増強することである。

 

(2) 頭風痛

古人は外感の頭痛が慢性化したり、
平素疾熱があるものが
風寒の邪を感受すると、
邪が風府から脳に入って
「頭風痛」が発生すると述べている。

頭痛は発作性に生じ、
何らかのきっかけで発作が起る。
しばしば、大風の吹く前日に
発作が起こり、
風が吹くとかえって緩解する。

悩み・怒り・いらいら・
疲労なども頭痛の原因
となる。

 

発作時の頭痛は激烈で、眉間に放散して
目を開けていることができず、
頭をあげ
ることもできず、
頭皮にしびれを感じる。

 

頭痛

 

(3) 肝陽上亢

内傷の頭痛である。
情緒抑うつ・怒りなどで
肝火上炎したり、
肝陰虚のために肝陽が上亢
し、
清竅が擾乱されて
目まいと頭痛が生じ、
怒りによって増強する。

 

肝は足脈陰経に属して
経脈が胸脇から頭頂に循行し、
これと表裏の関係にある
足少陽胆経は軀幹と頭の両側

循行しているので、
頭痛は頭頂あるいは両側頭に放散し、
耳鳴や胸脇痛をともなう。

 

肝陽上亢や肝火旺では
陰液を消耗するので
口乾・顔面紅潮が生じ、
熱が心神を援乱するので
いらいら・怒りっぽい・不眠など
がみられる。

弁証の要点:
頭痛と目まいがあり、
怒ると頭痛が発生したり増強し、
舌質が紅・舌苔
が少・脈が細数
などを呈することである。

肝火上炎で頭痛・目の充血・
口の渇き・口苦・尿が濃い便秘・
舌苔が黄・脈が弦数を
呈するときは、
清瀉肝火の竜胆瀉肝湯を用いる。

肝陽上亢の頭痛が慢性化して
腎陰虚をともない、
頭の鈍痛が持続する・
腰や膝がだるく
痛む・
盗汗・不眠・舌質が紅・脈が細など
を呈するときは、
滋養肝腎の起菊地黄丸を用いる。

 

(4) 気虚と血虚
いずれも虚証に属するが、
次のような違いがある。

気虚
慢性疾患や過労により
脾胃気虚をきたした結果、
清陽不昇・濁陰不降を
生じ
清竅の機能が失調して発生する。

しくしくと痛む持続性の頭痛があり、
倦怠感・無力感・息ぎれ・
話すのがおっ
くうなど
気虚の症候をともない、
疲れると顕著になることである。

中気が虚して頭を充すことが
できないと頭内が空になった
ような感じで痛み、
運化機能が障害されるので
食欲不
振・泥状便がみられる。

血虚
出血や分娩・産褥の異常で
血が不足した結果生じる。

頭痛と頭のふらつきがあり、
顔色があお白い・動悸・
不眠・目の異物感・目が
かすむなど
血虚の症候をともなうことである。

 

(5) 血瘀と痰濁上蒙

いずれも実証に属するが、
病因病理機序に違いがある。

 

血瘀
慢性的な疼痛による
「久痛入絡」 で
血滞不行となり生じることが多い


《霊枢・厥病篇》
「頭痛み験を取るべからざるは、
撃堕する所ありて、
悪血内にて在る
なり」
打撲や転落などの外傷も原因となる。

 

弁証の要点:
刺すような固定性の頭痛・
舌の瘀点などを呈することである。

痰濁上蒙
平素から飲食の不節制で
脾胃の運化機能が失調して
生じた痰濁が、
清竅を上蒙するために発生する。

 

弁証の要点:
頭が重く痛み目まいをともない、
胸や腹の膨満感や苦悶感・
水様物の嘔吐
・舌苔が厭などの痰濁の症候を呈することである。

《証治酒補·頭痛》
「痰によりて
痛むものは、
昏重して敗量し吐せんと欲す」

 


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