帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹

帯状疱疹は体内に眠っていた
水ぼうそうウイルスが再び
目を覚まして発症する病。

人体は身体的に成長すると共に
幼少期に患った病も
体内に埋めてしまうことがあります。
そして、身体的な成長が止まり
歳を重ねる毎に
なだらかに体は弱っていき、
幼少期に患った病がまた顔を出す
ことがあります。

帯状疱疹はその代表例で、
加齢やストレス、または疫病に罹り
体の免疫力が下がった時に
再びウイルスが活性化します。
体に眠っていた病が
再び顔出すこと自体は問題ではなく、
この場合はむしろ
出し切った方が良いです。
問題は免疫力が落ちたままだと、
帯状疱疹後神経痛のような
体の痛みに悩まされます。
東洋医学を礎とした鍼灸では
免疫力を向上させるために
弱った内臓を扶けることが得意です。

 

ここでは帯状疱疹に対する
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。

 

 

 

西洋医学の見解

 

水ぼうそう(水痘)ウイルスは、
水ぼうそうに初めてかかった時に、
発疹から神経を通って、
後根神経節といわれる部分に潜伏。

その為水ぼうそう(水痘)ウイルスは、
水ぼうそうにかかったことがある人なら
誰でもが持っているもので、
水ぼうそうも帯状疱疹も同じウイルスが
再活性化することで発症する。

1度目の発症を
水ぼうそう(水痘)と呼び、
2度目の発症を帯状疱疹と呼ぶ。
なので、帯状疱疹は
他人から感染するのではなく、
以前罹患した水ぼうそう(水痘)
ウイルスが
原因で起こる。

 

子どもの頃などに水ぼうそう(水痘)を
発症したことがある人は、
体の中にウイルスが残っており、
これが何らかの要因で
再活性化したときに発症するのが
帯状疱疹である。

帯状疱疹

 

帯状疱疹を発症する
一番の原因は「免疫力の低下」。
その要因をまとめると

・高齢者(50歳以上)
・疲労
・悪性腫瘍
・重症な感染症
・放射線や紫外線の曝露
・免疫抑制剤や抗がん剤を
使用したことによる免疫低下
・ストレス

 

症状

・胸
・腹部
・背中
・顔
・頭部

などの左右どちらかに、
はじめはピリピリ・チクチクといった
神経痛のような痛みが起こる。

その後、
ブツブツとした赤みのある発疹と
水ぶくれが帯状に生じて、
痛みが次第に増してくる。

眠れないほど痛むこともあり、
仕事や家事などの
日常生活に支障を来すことも。

同時に発熱、リンパ節の腫れ、
頭痛
といった全身症状が
みられることもある。

 

3週間で
水ぶくれなどの症状は治まるが、
皮膚に痕が残る場合も多い。
重症化するとウイルスが
全身に回ることで、
体の広い範囲に発疹が現れてしまう。
首から上の帯状疱疹は、
重症することで難聴、
視力障害、顔面神経麻痺など
引き起こすこともある。

 

治療

水痘・帯状疱疹ウイルスの
増殖を抑える抗ウイルス薬が使われる。
基本は飲み薬だが、
重症の場合などは点滴や注射で投与する。
重症化を防ぐためにも、
できるだけ早く治療を
始めるのが望ましい。

 

 

帯状疱疹


東洋医学の見解


帯状疱疹は臨床では
よく見られる皮膚疾患であり
最近では高齢者、虚弱者はもちろん、
新型コロナウイルスに罹患し
免疫力が低下したのをきっかけに
発症する例もよく見受ける。

 

帯状疱疹は
皮膚局部に問題があるのではなく、
体内の病因により
発症するものと考えられる。

発症初期に西洋医学の治療を
受ければ問題ないが、
治療時期を逸すると
自然治癒を待っても、
後遺症が残る心配がある。

 

東洋医学では、
急性期から後遺症までの症状を
弁証論治して治療することができる。

 

 

・肝経火毒

精神的な要素は
帯状疱疹の重要な病因となる。
強いストレス・精神的な疲労・
睡眠不足などにより
肝の疏泄機能が失調すると、
肝血は消耗され肝気鬱結する。
時間がたつと肝気は化火し、
肝経の火鬱の状態が発生する。
肝火が体内に鬱盛となると、
肝経が分布している身体の側面、
特に乳房・胸脇部あたりに
刺痛発赤があり、
続いて米粒状の水疱ができ帯状をなす。

春に発病することが
やや多いといわれている。
春は肝の所属する季節でもあり、
肝の機能が失調しやすいため、
発病とつながるとも考えられる。

帯状疱疹をひき起こす主な病邪は
熱邪、あるいは
熱邪より強い毒邪である。

 

 

【症状】
・疱疹が赤く、硬く、
熱く、痛む、乾燥した痂

熱邪が盛んになると火となり
火が強ければ毒となる。
火毒が筋肉と血分に侵入すると
疱疹が赤くなり、
毒が深部に入れば入るほど、
疱疹の色が濃くなり、
紫紅色を呈することもある。
疱疹の壁が硬いものは
病気の性質が実証で
あることを意味する。
病気の性質が熱のため、
局部は熱感をもつ。
熱邪が軽い時は痒みが出るが
熱邪が重い時は痛みを感じる。
火毒の邪気が経絡に留まって
気血の流れが影響されると
「不通則痛」で痛みが強くなる。
病位は肝経にあることが多いので、
脇あるいは側面に
帯状疱疹が見られることが多い。
肝火が血脈を主る心に移行すると
血熱の状態を呈する。


・口苦
口渇・冷たいものを好む

熱邪あるいは
火毒の邪が肝胆の部位に滞ると、
胆熱が上蒸して口苦の症状が見られる。
熱邪が津液を損傷して口渇冷たいもの
を飲みたがる傾向が現れる。

 

・心煩・怒りっぽい・偏頭痛・発熱

肝火が肝経に沿って上昇すると、
偏頭痛・怒りっぽいなどの
肝火上炎の症状が見られる。
肝火が心火を生じさせると
心の蔵神機能が攪乱され、
心煩・発熱などの
心火上炎の症状を伴う。


・尿黄・便秘

全身の熱邪が
盛んであることを示す症状。
熱が津液を損傷するので
便秘傾向が強い。

 

 

治法:
清熱・瀉火・解毒・涼肝

帯状疱疹の主な病因である
熱邪を清する。
清熱より瀉火の力を強め、
瀉火より解毒の力を強める。
病位は肝であることが多いので
涼肝(肝を冷やす) の治法を併用する。

 

 

・脾経湿熱

・疱疹が黄色く白い柔らかい・
破れやすい・あるいはジュクジュクして
化膿しやすく痛む

湿邪と熱邪が筋肉を主る
脾経に存在するため、疱疹が黄白色で、
疱疹の壁が柔らかい。
陰に属する湿邪が多い時、
疱疹はジュクジュクして破れやすい。
熱がこもると化膿して痛む。
湿邪は粘滞するので
病気が長く続きやすい。

 

・身体がだるく重い・
食欲不振・腹脹・軟便あるいは下痢

脾気不足のため、
運化機能が減退して
食欲不振・腹脹などの
脾失運化の症状が見られる。
脾虚湿盛になると体が重くなり、
下痢などの湿邪停滞の症状が見られる。

 

治法:
利湿・清熱・健脾

病因である湿邪と
熱邪を同時に除去しながら、
湿邪が生まれないように
脾の運化機能を高める必要がある。

 

 

帯状疱疹

 

・気血不足

・疱疹がはっきり出ず長期化する

気血が不足するため、
帯状疱疹の疹毒が体表に出にくく、
局部の疱疹は赤みも
痛みも強くはないが
治りが遅く長期化する。

 

・疲労感・息切れ

気虚のため推動機能が減退するので、
疲労感が強く、息切れしやすい。

 

・顔色が白い・眩暈

血虚により、顔と頭部は
栄養失調となり顔色が白くつやがなく
眩暈しやすい。

 

・食欲不振

脾気不足により運化作用が減退して、
食欲が減退する。
局部の皮膚症状も食欲に影響を与える。

 

治法:
益気養血・健脾

不足している気血を補益しながら、
気血を生む源である
脾の運化機能を高める必要がある。

 

 

帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹後神経痛について

 

・肝鬱気滞血瘀

・疱疹が消えても局部に疼痛がある

局部の帯状疱疹が消えても、
病邪が深く皮内に入り込んでいると、
局部経絡の気血運行が悪くなり
「不通則痛」で疼痛を感じる。

 

・胸脇脹満

肝胆の部位を意味する
胸脇の気滞症状である。
帯状疱疹の疼痛に対するストレスも
肝気を鬱結をさせる一因であり、
胸脇脹満は肝気鬱結の代表症状である。

 

・イライラする・怒りっぽい

肝の疏泄機能が失調して、
情緒を発散できずに心煩が見られる。
肝鬱化火となると怒りっぽくなる。

 

・偏頭痛・眩暈

肝気上昇による頭部の症状である。


治法:
疏肝・理気・活血・緩急

帯状疱疹の回復期あるいは
慢性期の治療法である。
肝経の気血の運行を改善して、
後遺症である神経痛の予防あるいは
治療をはかる。
疼痛が強い時は
緩急止痛法を併用する。

 

 

 

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