麦粒腫・霰粒腫

 

麦粒腫・霰粒腫

麦粒腫・霰粒腫といった眼瞼の疾患も
相談受けることがあります。

症状自体は眼瞼にあるのですが、
原因は眼瞼ではないものと
東洋医学では捉えます。
東洋医学では、外傷性のもの以外は
内臓の弱りが根本的な原因で
病が発症するものと考えます。

そもそも、体は全て
内臓で作られた気血で全身栄養され
機能している為、
内臓が不調に陥ると全身をうまく
栄養できなくなり、体の所々で
痛みや腫れ、痺れや痒みなど
様々な症状が発せられます。

麦粒腫・霰粒腫も同じような経緯で
発症するものと捉えるので、
眼瞼を入念に診るのではなく、
どの臓腑が弱って眼瞼に症状が
出てきたのかを診てゆきます。

 

ここでは麦粒腫・霰粒腫に関しての
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。

 

 

 

西洋医学の見解

 

・麦粒腫(ばくりゅうしゅ)

一般的に「ものもらい」
と呼ばれる病気で、
麦粒腫の多くは自分の皮膚に
存在している細菌が
眼に感染することでおこる。

そのため、
誰でもがかかりやすい病気であり、
疲労や病気で免疫力が弱っている時は、
特にかかりやすい病気である。

 

・霰粒腫(さんりゅうしゅ)

「めいぼ」とも呼ばれその名の通り、
瞼にやや硬いしこりができる。
通常はそんなに痛くないが
経過中に急性炎症を起こすと痛くなる。

マイボーム腺という
目に油を分泌する所が詰まってしまい、
おかゆのような分泌物が溜まって
しこりが形成されてしまう。

 

 

症状

・麦粒腫

自覚症状は「目がごろごろする」
ような感覚で、実際まぶたなどの
眼の粘膜上にふくらみが見られる。

 

・霰粒腫

まぶたの皮下に
米粒大から小豆大のしこりができる。
異物感を感じる場合もあるが、
無症状の場合もある。
化膿性霰粒腫の場合は
痛みや腫れを生じる。

 

麦粒腫・霰粒腫


原因

・麦粒腫

細菌感染ででき化膿することもある。
まつげの毛穴に存在する
脂腺や汗腺に起こるもの(外麦粒腫)と
まぶたにあるマイボーム腺
(脂腺の一種)
に起こるものがある
(内麦粒腫)


初めはまぶたに
局所的な赤みが出現し、
しばしば軽度の痛みや痒みを伴う。

「まばたきをすると目が痛い」
と気づくことが多い。

 

 

・霰粒腫

疲れ、不規則な生活、
ストレスなどの影響で
ホルモンバランスが変化や、
化粧品などの影響で
マイボーム腺の出口を塞いでしまう
ことが原因といわれている。

油脂の多い食生活も
原因のひとつと考えられている。

 

 

治療

・麦粒腫

軽症の場合、
自然になくなるものもあるが、
腫れが長い間ひかなかったり、
何度も再発したりすることもある。

乳幼児などで症状がひどい場合は
治療が必要だが、普通はそのまま
放っておいても23週間で
自然に治っていく。
ほとんどがブドウ球菌感染なので
症状に合わせた抗生物質の点眼薬、
症状が重い場合は、
内服薬や軟膏などが処方される。

 

 

・霰粒腫

ほとんどの場合、
抗生剤や抗炎症の点眼や軟膏を
用いて自然に吸収されていく。
大きさによっては
治癒までに数週間から
数か月かかることもあり、
多少しこりが残る場合もある。

大きく外見的に目立つ場合や
何度も再発を繰り返す場合は
ステロイド薬の注射や、
まぶたを切開して
しこりを摘出する手術を行う。

高齢者で何度も繰り返す場合は
まぶたの癌である脂腺癌が
疑われるので病理検査が必要。

 

麦粒腫・霰粒腫

 

東洋医学の見解

 

・麦粒腫

眼生倫針とは、
眼瞼縁に生じる小さな癤のことで
俗に「針眼」「眼瘡」という。

眼瞼は脾胃に属するところから、
「土疳」 「土瘍」とも称され
「麦粒腫」 に相当する。

 

 

・風熱と熱毒

いずれも実証・熱証である。


・風熱
風熱の邪が胞瞼に侵入して
経絡を阻滞し、
局所の気血が疼滞したために発生する。

 

特徴:
眼部の症状が軽度で、
初期には発赤・腫脹・熱感・
疼痛が軽く、
次第に増強したのち、
数日で消退するか潰破したのちに
治癒することである。
全身症状はないが風熱表証を呈する。

 

治法:
硫風清熱

 

 

・熱毒
辛辣なもの・熱いものの嗜好で
熱毒が生じ、熱毒の邪が
上衝したために発生する。

 

特徴:
眼瞼の発赤・腫脹・熱感がつよく、
甚しければ眼球結膜が腫脹して
痒痛をともない、夜間に症状が増悪し、
便秘・口渇・舌苔が黄などの
脾胃積熱の症候を呈することである。

 

治法:
風清熱・解毒

麦粒腫・霰粒腫

 


・気陰両虚と脾気虚

いずれも虚証である。


・気陰両虚
熱病の後期に見られ、
気虚で運化が不足し、
陰虚で虚火が上炎して
胞瞼の気血が滞したために発生する。

 

特徴:
虚火であるから局所の発赤・
腫脹・疼痛がつよくなく、
腫塊も軟堅が混合しており、
倦怠無力感・息ぎれ・食欲不振などの
気虚の症候や潮熱・便秘などの
陰虚の症候をともなうことである。

 

治法:
益気滋陰

 

 

・脾気虚
胞瞼は脾に属し、脾虚のために
風熱の余毒が胞瞼に残存して排除され
ないことによって生じる。

 

特徴:
反復して発症し難治であり、
食欲不振・泥状便などを
呈することである。

 

治法:
健脾和胃・扶正邪

 

 

麦粒腫・霰粒腫


・霰粒腫

眼生痰核とは、
瞼結膜 (胞瞼) に生じる核状の硬結で、
経過が緩慢で再発しやすく、
上眼瞼に好発する。

「脾生痰核」とも呼ばれ
「霰粒腫」 に相当する。

 

痰湿混結

辛辣なもの脂っこいもの、
甘いものなどを嗜好して
脾胃の運化が失調し、
津液が停滞して痰を生じ、
痰湿が経絡を阻滞して胞瞼に結し、
次第に腫核を生じたものである。
痰核が経絡を阻塞して
気血の運動を阻むので、
気滞血瘀が生じて
眼瞼結膜は紫紅色となる。

《原機啓微》
「血は栄たり、気は衛たり、
栄は脈中を行り、衛は脈外に生ず、
これ血気は分れて混じず、
行りて阻まず相混を欲せず、
混すればすなわち阻をなし、
阻すればすなわち結を成し、
結すればすなわち去還するところなく、
ゆえに皮膚の中に隠起し、
遂に疣病をなす」
と述べている。

 

特徴:
皮下の球形の腫瘤が可動性で、
痒みや痛みをともなわないことである。

 

治法:
化痰軟堅

麦粒腫・霰粒腫


・痰化欝結

痰湿混結の痰核が
長期間経過したために
欝して化火するか、風毒の邪が
侵入したことにより発生する。

 

《審視瑤函》
「火は痰より重ければ、その色は紅紫、
すなわち痰は火により滞りて結す」

「これ陽明の積熱、
平昔飲酒過多にして、
辛辣炙縛の味を好食して致す
ところなり」

と記されている。

 

特徴:
腫瘤が痛痒・疼痛をともない、
表面皮膚が発赤することである。

 

治法:
清熱散結

 

 

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