過眠症

 

過眠症

食後に眠気に襲われることは
経験された方もいらっしゃると
思いますが、
病的に強い眠気が襲い
起きてられず眠ってしまうことを
過眠症といいます。

このような病的な眠気に関して
東洋医学では内臓の弱りを疑います。
食後の眠気を例に出しましたが、
内臓に何かしらの負担がかかると
眠気に襲われることがあります。
キッカケは飲食物の場合や、
ストレスや疲労、寝不足、
様々な要因が考えられますが、
これらが内臓のどこかに負担がかかると
思考が停止し眠気に襲われます。

ここでは、過眠症に対する
西洋医学と東洋医学の見解を
紹介致します。

 

 

西洋医学の見解

夜間に十分な睡眠をとっている
にも関わらず、
少なくとも3ヶ月以上に渡って
日中に耐え難い眠気が生じる状態の事。

その眠気のため、
社会生活や学校生活に
支障を生じていれば
過眠症の疑いがある。
また、眠気を自覚していなくても
仕事中や授業中に知らず知らず
眠りに落ちているという状態も
過眠症の可能性がある。

 

 

原因

睡眠時間が不足していたり、
睡眠の質が不良であったりすることが
原因となっていることもあるが
病気の可能性も考えられる。

 

ナルコレプシー

耐え難い眠気の出現と、
食事中や歩行中など
通常眠ることがない状況での
居眠りを特徴とする慢性の睡眠障害。

 

特徴
状況によらず起きていることが
難しくなり突然居眠りが生じ、
数分から十数分程度の
短い居眠りの後に覚醒し、
目覚めた後はすっきりした
感覚が得られる。

多くは思春期に発症した後から、
徐々に症状が進展し、
数年かけて症状が出そろい
長期間持続する。

 

原因

覚醒した状態を保つのに
必要な神経ペプチドである
オレキシンを作り出す神経細胞の
変性・脱落にあると考えられている。

 

 

特発性過眠症

ナルコレプシーと同様に、
日中の過剰な眠気と居眠りが特徴。
夜間の睡眠時間が長いタイプと
睡眠時間が通常のタイプがある。

 

特徴

睡眠麻痺、幻覚は
ナルコレプシーに比べ頻度は低く、
レム睡眠に関わる異常も
ナルコレプシーに比べ目立たない。
そのほか、起床困難、頭痛、
起立性調節障害、失神などの
自律神経症状を伴う場合がある。

 

治療

いずれの過眠症でも、
睡眠の機会を十分に確保し、
カフェイン、アルコール、
ニコチン等の睡眠を妨げる
薬物摂取を抑えることが大切。
そのうえで、ナルコレプシーや
特発性過眠症では、
過眠症治療薬等による
薬物療法が行われる。

 

 

過眠症

東洋医学の見解

嗜睡とは昼夜を問わず眠りたがり
呼ぶとすぐに覚めるが
また眠ってしまう状態をいう。
嗜眠などに相当する。

《内経》
「好臥」「嗜臥」「善眠」
「安臥」 「多臥」 などと記載している。

《傷寒論》
「欲寐」「多眠睡」

《金要略》
「欲臥」「欲眠」と称している。

 

嗜睡は意識障害をともなわず
元気がなくて眠くなるもので
呼ぶとすぐに目覚める。

「神昏」は嗜睡とは異なり、
意識障害があって
昏睡状態にあることを言う。

また、大病の回復期で
陰陽が回復するときに
長期間熟睡して目覚めたのちに
爽快になるがこれも嗜睡ではない。

 

・湿困脾陽

雨にうたれる水中を歩く・
湿地で生活する・ 生ものや
冷たいものを過食するなどの外因や
脾虚による内湿で、湿邪が脾陽を
障害することによって発生する。

 

特徴:
嗜睡とともに湿邪による
陽気阻滞の症状をともなうことで、
頭がしめつけられるように重い・
四肢が重だるい・腹が張って苦しい
軟便・甚しければ
下腿の浮腫などがみられ、
舌苔も白を呈する。

《血証論》
「身体沈重し、倦怠嗜臥するものは、
すなわち脾経に湿あるなり」
と述べている通りである。
湿が長期間停滞して痰を生じ、
痰が清陽を阻害すると、
嗜睡はさらに顕著になる。

 

治法:
温中化湿

 

 

過眠症

心脾両虚

《雑病源流犀燭 不寝多寝源流
「多寝は、心脾病むなり、
一は心神の昏濁により
自主することあたわず
一は心火の虚衰により、
土を生じて健運することあたわず」

とあるが、
多くは病後の消耗・思慮過度
飲食不節・出血などにより
心血の消耗と脾気不足を来たし、
心神が栄養されないことによって生じる。

 

特徴:
倦怠感・いつも眠い・
顔色につやがない・
食欲不振・
泥状〜水様便・
動悸・息ぎれ・
舌質が淡で脈が細弱などの
心血虚と脾気虚の症候がみられることである。

 

治法:
補益心脾

 


・腎陽虚と腎精不足

いずれも腎虚であるが
腎陽虚は陽気不足が主であり、
腎精不足は陰精不足による
髄海() 空虚が主である。

 


・腎陽虚

病邪が少陰を直接侵犯するか、
失治・誤治により、陽気が消耗して
陽虚陰盛となり発生する。

《類証治裁》
「多寝は、陽虚陰盛の病なり」
と指摘している。

 

特徴:
寒がる・腰が冷える・身体が重い・
浮腫・下肢の冷え・ 尿量が少ない
あるいは多尿・舌質が胖で淡・
舌苔が白などの
虚寒の症状を示すことである。

 

治法:
温補腎陽

 

・腎精不足

過労 慢性疾患・老年の衰弱・
房室不節などにより、腎精が不足して
髄海が空虚になって発生する。

《霊枢・海論》
「髄海不足すれば、
すなわち脳転じ耳鳴り、
脛痠し眩冒し、目は見るところなく、
懈怠安臥す」 とある通りである。

 

特徴:
頭がぼーっとして思考力が鈍い・
仕事を続ける元気がない・
体がだるい・耳鳴・聴力減退などの
髄海不足の症候を呈することで、
虚寒の症候はみられない。

 

治法:
填精補髄

 

 

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