月経不順(生理不順)
月経周期が乱れて
体調管理が難しいという方
多くご相談頂きます。
そもそも卵巣や子宮は、
内臓から作られた気血によって
潤い養われており、
その内臓の不調があると
卵巣や子宮もうまく栄養できず
結果的に月経の周期が乱れてしまう
といった現象が起きます。
では、どの内臓の不調からくる
ものなのか?を考えた時、
人によっては胃腸の不調からくるもの。
人によっては肝胆の不調からくるもの、
他にも様々な臓腑の不調も考えられ、
卵巣や子宮に影響が出てきます。
東洋医学では、
婦人科の疾患だからといって
卵巣や子宮だけを診るのではなく、
五臓六腑を重視して診てゆきます。
※施術する場合、
患部(陰部)を見たり、
触診したり、施術したりはしません。
あくまで五臓六腑に由来する
経絡経穴(手・足・背中など)
を中心に診てゆきます。
ここでは、
月経不順に関する
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。
西洋医学の見解
成熟した女性の体では、
約1か月の周期で排卵や、
子宮内膜の変化が起こりるが
排卵後、妊娠に至らなかった場合は、
子宮内膜が剥離し血液などとともに
排出される月経が起こる。
月経は25日~38日の周期で
起こるのが通常で、
月経周期がこの範囲よりも
短くなったり長くなったりする状態が
“月経不順”一般に
“生理不順”とも呼ばれる。
原因
月経不順の原因は多岐にわたる。
・卵巣の病気
多嚢胞性卵巣症候群は
月経不順の原因として比較的多い病気。
成熟した女性の5~8%に
発症するといわれており、
この病気自体の原因は不明。
男性ホルモンの量が増えることにより
排卵しにくくなり月経不順や無月経を
引き起こすとされている。
そのほか、卵巣の腫瘍や、
早発卵巣不全(40歳未満で
閉経のような症状が起こる病気)
などで卵巣機能が低下すると、
月経不順になることがある。
・生活習慣や環境
ダイエットや肥満、ストレス、
疲労、環境の変化などが
ホルモンバランスに影響し、
短期的に月経が乱れることはよくある。
過度な体重減少や過度なストレスは
ホルモンを調節する“視床下部”という
脳部位に影響し、卵巣機能の障害を
引き起こすことがある。
・他の病
脳下垂体は、月経に関わるホルモンを
調節するはたらきをしており、
脳下垂体に腫瘍ができたり、
その腫瘍を手術で取ったり
したことによって、
ホルモンのバランスが変わると
月経に影響が出る。
また、甲状腺機能の機能が
低下した影響で
プロラクチンというホルモンが
増えることがあり、排卵を障害し
月経不順となることもある。
・薬剤
鬱病の治療のために処方される
精神安定剤の影響で、
プロラクチンが高まり、
排卵が止まることがある。
また、抗癌剤治療や放射線治療、
卵巣の手術の影響で、
卵巣機能が低下して
排卵が障害され月経不順と
なることがある。
症状
・頻発月経・希発月経
頻発月経では月経開始日から
次の月経が生じるまでの期間が
24日以下で、
希発月経は39日以上と
長くなる場合を指す。
(正常な性周期は25~38日で
周期ごとの日数の差が
6日以内と医学的には定義されている。)
ホルモン分泌量や卵巣の状態などに
何も問題がない場合もあるが
多くのケースでは卵胞期短縮症による
排卵障害や黄体機能不全などあり、
不妊症になることも多くある。
治療
月経不順または
続発性無月経でかつ
妊娠希望の場合には、
クロミフェン療法による
排卵誘発を行う。
妊娠が目的となる治療であるが、
結果として排卵が促され
月経周期が整っていく。
妊娠希望でない場合は、
ゲスターゲンの周期的投与により
月経周期を正常化させる。
東洋医学の見解
経行先後無定期とは
月経周期が短縮したり
延長したりして不規則なことを指し
「月経紊乱」とも言う。
本症が慢性化すると
妊娠し難いだけでなく
「衝任失調による子宮出血」
に移行する。
閉経期 (「七七」 49才前後)
にも周期の不定が
発生することがあるが
多くは正常である。
・肝鬱腎虚
肝欝腎虚のために
疏泄と閉蔵が失調し衝任の気血が
機能失調をおこして発生する。
特徴:
乳房や脇腹が張る・腰がだるい
などの症候があり、
月経持続期間は正常範囲で
月経量が増加することはあるが
大出血には至らないことである。
治法:
疏肝補腎
・心脾両虚
心脾の気血が不足して
衝任が失調するために発生する。
特徴:
経血が少なく淡色で、
乳房や脇腹の張った痛みはなく、
頭のふらつき・元気がない・
食欲不振・泥状便などが
みられることである。
治法:
補益心脾
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