乳腺炎

乳腺炎


【乳腺疾患】

乳房の痛み、胸の嚢胞、
線維腺腫(胸のしこり)、
葉状腫瘍、乳管内乳頭腫、
乳腺症、石灰化、乳腺炎など、
乳腺に関する婦人科疾患は
様々あります。

そもそも人体とは、
内臓で作られた血液やリンパ液で
全身を潤して栄養しております。
その内臓が何らかの原因で
弱ってしまったり、
機能が滞ってしまうと
質の良い血液やリンパ液ができず、
それらが体中に運搬され
あらゆる場所に痛みや凝り、
しこりや腫れなどが発症します。
乳腺にあるしこりや腫瘍も、
突然できたわけではなく
内臓から運搬されてきたものと
捉えていいです。
なので、乳腺の病も原因は
内臓から起因するものと
東洋医学では考えます。
では、どの内臓由来の疾患なのか?
当院では四診を用いて弁証論治をし
臓腑の鑑別をし、臓腑にまつわる
経穴に施術します。

※直接胸を見たり
触診したり、胸に施術をする事は
ないのでご安心下さい。
(施術で使用する経穴は主に
手・足・背中です。)

乳腺疾患でお悩みの方、
ご相談下さい。

 

 

 

西洋医学の見解

 

乳腺炎とは、
出産後 乳汁がきちんと排出できず
乳腺内に溜まり、
炎症を起こすことをいう。

また、出産に限らず
乳頭や乳輪などに傷ができた時、
その傷口より細菌感染を起こして
炎症が起こる場合も
乳腺炎と診断される。

 

乳腺炎

 

乳腺炎には主に
「急性鬱滞性乳腺炎」
「急性化膿性乳腺炎」があり、
いずれも乳房が腫れ、
痛みが出るといった症状がある。

急性鬱滞性乳腺炎は、
授乳期だけに見られる症状だが
急性化膿性乳腺炎は、
乳首を不衛生にしていれば
いつでも起こり得る病気である。

 

 

・急性鬱滞性乳腺炎

出産後2〜3日の産褥期に頻発し、
特に初産婦の場合に多く見られる。

症状:
・乳房全体が赤く腫れる
・乳房全体が硬くなる
・しこりができ、
ちょっと触れただけでも、
飛び上がる程痛むことがある
・微熱を伴う

 

乳腺炎 

こうした症状の原因は、
不充分な授乳、
授乳に不慣れがあったり
赤ちゃんがお乳を吸う力が弱かったり、
乳管の開きが足りないなど。

改善するためには、
乳房を温めながらじっくりと
マッサージし、
お乳を完全にだしきること。

ベストなのは赤ちゃんに
お乳を全部飲んでもらうことだが
飲み切れずに余ってしまったお乳は、
搾乳し乳房の中に
お乳を溜った状態にしないようにする。

また、急性鬱滞性乳腺炎
になっているときは、
細菌に感染しやすくなっている状態で
授乳の前後は乳首をきれいに
消毒する習慣をつけること。

 

 

・急性化膿性乳腺炎

主に出産後2~3週間目から
症状がでてくる。
また、乳首の傷から細菌が入ると、
炎症を起こす。

 

症状:
・乳房が腫れて痛む
・しこりができる
3840度もの高熱が出、
全身に寒気を伴う
・脇の下のリンパ節が腫れる

 

乳腺炎 

こうした症状の原因は、
授乳期に乳首に傷やただれができ、
そこから連鎖球菌や
黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入し、
炎症を起こしているからである。

 

 

治療

しばらくは様子を見る。
自宅での治療では、
乳房に冷湿布を貼るのが効果的。
しかしあまり急激に冷やすのは
逆効果なので適宜に行う事。

治療の基本は、
消炎鎮痛剤や抗生物質の服用。
治療中は、薬が母乳を通じて
赤ちゃんに入るのを防ぐ意味と、
乳房を休める意味で、授乳を止める。

また、乳汁の鬱滞が著明な場合には、
乳汁分泌抑制剤を投与することもある。

また、膿瘍ができている場合には、
注射針で吸引したり、
切開して取り出すこともある。

 

 

 

 

 

東洋医学の見解


中医学では乳腺症は
局部の問題だけではなく
全身の状態を反映するものと
認識しており
軽視できない症状ととらえている。

 

乳腺症に関連する中医病名

乳癖
乳房に癖(停滞不散のしこり)
生じること。

 

乳痰
乳房中に杏の形をした
腫塊が生じ硬くて痛まず
皮膚の色は変化しない。
「乳癆」ともいう。
肝気鬱結、胃経の痰濁が
凝結して起こる。

 

乳粟
乳房中に栗のような
硬い核粒を生じること。
「乳核」 ともいう。

 

 

 

・肝気鬱結

乳房のある部位は
肝の経絡が流れているので
乳房部の病変はまず
肝から病因を考えることが多い。

肝は情緒を疏泄する重要な臓腑であり
肝の機能失調、あるいは
強いストレスによって、
肝気鬱結し長期に継続すると、
気滞は血瘀に変化して、
しこりが発生する。

乳腺症の発症が、
生理の前後や感情の変化に
左右されることが多いのも
肝との関連を示唆する。

 

乳腺炎


症状:
・乳房の腫塊・月経前に腫痛が強まる

肝経に所属する乳房に腫塊
現れるのは肝経の流れが
悪いことを意味する。
肝経の気滞によって血瘀が形成され
しこりが生じる。

さらに肝気が脾を犯して
体内に痰湿が発生すると、
しこりの形成を助長する。

月経前の乳房の腫れ・痛みは
肝気鬱結との関連を意味する。

 

・情緒の変動によって
乳房の症状が変化する

憂鬱・怒りなどのストレスが
肝の疏泄機能を減退させると
肝気鬱結の状態が強くなるので、
乳房の症状は著しく変化する。

 

・生理不順・生理痛
肝気鬱結から気滞血療の状態となり、
肝経が通過する
子宮の気血の流れが悪くなる。
生理の周期が乱れやすく
生理痛を伴うことが多く
不妊症に至る可能性もある。

 

・頭痛・心煩・不安

肝の疏泄機能が減退して
肝鬱化火となり上昇すると
頭痛が生じる。
肝火が子臓である心に移行すると
心の蔵神機能を攪乱され
イライラ・不眠などの症状が現れる。

 

 

治療原則:
疏肝・理気・活血・化痰・散結

まず肝の疏泄機能を調節して、
気血の流れを改善する。
しこりは、活血化瘀と化痰の併用に
よって小さくさせる、
あるいは成長を抑える。

 

 

・脾虚痰凝

脾は痰湿を生む源であり
甘いもの生のもの油っぽいもの・
飲酒などの不規則な食生活が続くと、
脾胃の運化機能が低下し
水湿が体内に停滞し、
これが長期にわたると痰湿に変化する。
肝鬱の状態が強い時も
「肝木克脾」
脾は虚して運化機能が低下し
痰湿が停滞する。
粘滞の性質をもつ痰湿が
乳絡に流注すると
しこりを作り、
しかも取れにくく長期化する。

化痰するには同時に
理気しなければならない。

乳腺炎


症状:
・乳房にしこりがある・やや肥満体格

脾虚により水湿を運化する
機能が減退して
痰湿が発生する。
痰は津液の停滞によって
生じた病理的な産物であり
経絡に流注すると硬い痰核となる。

脾虚により水湿が全身に滞ると、
脾虚湿盛の肥満体となる。

 

・胸悶・痰多

痰によって気の流れが阻止され
痰凝気滞による胸悶の症状が見られる。
「肺は貯痰の器」
といわれているように、
乳房のみではなく
胸全体が重苦しく感じることがある。
喀痰が多いことも
体内に痰が存在することを意味する。

 

・眩暈

痰湿が陽気の動きを阻止するので、
清陽は上昇することができなくなり
清陽の府である頭が重く眩暈が現れる。

 

・食欲不振

脾の運化機能が低下した症状である。
体内に粘滞性のある痰湿が存在すると
さらに食欲を減退させる。

 

 

治療原則:
健脾・利湿化痰・散結

脾気を補益して運化機能を増加し
体内の痰湿を除去し、
しこりを消散させる。
痰湿を取り除く時は
必ず理気法を併用する。
化痰にはまず理気が必要である。
乳腺症の部位から考えると
疏肝理気が必要である。

 

 

・肝腎虚弱

腎は先天の本であり,
成長・発育・生殖機能を主る
重要な臓腑である。

病気による正気の消耗、
過度の性生活、あるいは加齢
などによって、腎精が不足すると
「肝腎同源」の理によって、
腎虚と同時に
肝の虚証が見られることが多い。
肝と腎が虚すと
邪は容易に体内に侵入して
乳絡に停滞し しこりが発生する。
西洋医学でも
乳腺症とホルモンのバランス失調
の関係を指摘するが、
中医学でも乳腺症と腎の関連を考えて、
補腎法を併用することが多い。

乳腺炎


症状:
・乳房のしこり

肝血虚と腎精虚から、
乳絡を養うことができなくなり、
正虚に乗じて邪が侵入して
肝経に滞るとしこりが発生する。

 

・月経前後不定期・不妊症

先天的な腎精が虚すると、
精室不足で排卵機能も乱れ、
月経周期が不安定となる。
肝血の不足によって
肝の疏泄機能も低下し、
肝気は鬱結して
月経周期の調節が影響される。
子宮から起源する
衝脈 (月経を主る)と任脈 (妊娠を主る)
も失調するので、
月経不順あるいは
不妊症の傾向が見られる。

 

・腰痛

腎の外府といわれる
腰の痛みを伴うことが多い。
特に生理前後の腰痛が強い。
腎虚のため骨を主る機能が
影響されたため生じる症状である。

 

・眩暈・眼精疲労

肝血虚で肝が主る目に栄養を
提供できなくなるので、
眩暈あるいは目の諸症状が現れる。

 

・冷え性

血の流れを調節する肝と、
全身の陽気を主る腎が虚弱になると、
冷え性が強く現れる。

 

 

治療原則:

補益肝腎・通絡散結
不足している肝腎の精血を
補益しながら、
肝経の鬱滞を通じさせ、しこりを消散する。

 

 

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