悪阻(つわり)

悪阻とは妊娠初期に見受ける症状。

今まで自分の体だけを養ってきた
体の仕組みが、体の中に
赤ちゃんができたことにより
変化せざる得なくなり、
体の変化に順応できないと
悪阻といった症状が出る。

健康的で臓腑間の連携が円滑であれば
体の変化にも柔軟に対応できて
悪阻なく過ごせるが、
もともと過敏な体質の場合は
妊娠中期を過ぎても悪阻が治らない。

では、どの臓腑がもともと弱くて
体の変化に馴染めないか?が
治療をする上でのポイントになる。

 

ここでは、悪阻に対する
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。

 

 

 

 

西洋医学の見解

 

 

悪阻・つわりとは、
妊娠5週目ごろから起こる
食欲不振、吐き気、嘔吐などの
消化器系の異常のことをいいます。

 

 

通常のつわりは
ホルモンバランスの変化からくる
生理的変化で、
全妊婦の約50~80%の方に
みられる症状。

 

重症な妊娠悪阻の女性は
食べられないことから体重が減少し、
水分も飲めないので脱水を起こします。

 

 

 

原因

 

はっきりした原因は
未だ解明されていないが、
ビタミン不足からくる代謝障害、
血糖値の変動、
精神的な影響など
といったことも原因として
考えられています。

 

 

妊娠と出産に対する恐怖や
不安、精神的なストレスも、
悪阻・つわりの発症の原因になったり、
症状を強めることがあります。

 

 

 

PMS(月経前症候群)など
になったことがある方は悪化しやすく、
長引きやすいとも言われています。

 

 

 

治療

 

早朝や空腹時に
特に症状が出ることが多く、
通常は妊娠12~16週目ごろまでには
自然に症状はなくなります。

 

重度の悪阻の場合は
最初は経口摂取をしないようにし、
電解質やビタミンを含む輸液、
吐き気を緩和する
薬剤の投与などを行います。

 

 

 

 

悪阻(つわり)

 

 

 


東洋医学の見解

 

 

妊娠嘔吐とは、
妊娠時の悪心嘔吐のことで
食臭を嫌い、
食べるとすぐに嘔吐したり、

嘔吐のために
食事が食べベられないこともある。

 

 

主に妊娠の初期に発生し、
軽症では2〜3ヵ月で自然に消失するが
重症では頻繁に嘔吐して食べられず、
妊娠の後期にまで及ぶ。

 

 

 

吐物は食物・つば・よだれ
水様物・酸味の液体・
胆汁(黄緑色で苦い液体)

などで、甚しければ吐血を呈する。

 

 

 

重篤な場合には
胎児と母体が危険に陥ることがあるので
注意が必要である。

 

 

 

《諸病源候論》
「悪阻病」

《産室》
「子病」

《太平聖恵方》
「妊娠阻病」

《本草綱目》
「妊娠悪」

《坤元是宝》
「病食」などと記載されており、
俗に「病児」 と呼ばれる。

 

 

 

 

(1) 胃気虚と胃陽虚

 

いずれも胃の虚証。
胃の陽気が虚したために
脾にも影響が及び、
脾胃の昇清と降濁の機能が失調し、
嘔吐を生じる。

 

 

胃気虚

 

脾胃が虚弱な体質のものが妊娠し、
月経が停止することにより
血海が鴻さなくなって
衝脈の気が盛になり、
衝脈は陽明に属するために
気が胃に上逆して発生する。

 

 

特徴:
食べるとすぐに吐き、
嘔吐が頻繁で腹満・元気がない・
倦怠感・物を言うのがおっくう・
舌質が淡・脈が滑で無力などの
脾気虚の症候をともなうことである。

 

 

 

胃陽虚(胃寒)

 

妊娠嘔吐は、
脾胃陽虚の体質のものが妊娠し、
胞門が閉塞して臓気が内阻され、
寒飲が上逆することによって発生する。

 

 

特徴:
寒冷によって嘔吐がつよくなり、
水様の吐物があり、
顔色が蒼白・倦怠感・寒がる
四肢の冷え・横になっていたい・
温暖をこのみ寒冷をきらう
上腹部痛・熱い飲物をこのむ・
脈が沈遅などの
陽虚内寒の症候をともなうことである。

 

 

 

(2) 痰飲

 

平素から中院に痰飲が停滞し
昇降失調を呈するものが、
妊娠したことによって
衝脈の気が上逆すると
痰飲も上逆するために嘔吐が発生する。

 

 

特徴:
吐物が水様あるいは
粘欄な泡沫状で量が多く、
動悸・息ぎれなどの飲邪上凌、
心肺の症状や、腹満・口がねばる
食欲がないなどの
湿困脾胃の症候をともなう。

 

 

本証には挟熱と挟寒の別もある。

 

 

 


挟熱

 

苦い液を嘔吐し、
頭のふらつき・いらいら口乾・口がねばる。
舌質が紅・舌苔が黄賦・脈が滑数などの
湿熱の症候を呈する。

 

 

 

 

挟寒

水様物を唱吐して早朝に増強し、
顔色が蒼白 味がない・
舌質が淡・舌苔が白賦・
脈が沈で無力などの
虚寒の症候を呈する。

 

 

 

悪阻

 

 

(3) 胃熱と肝火

 

いずれも火熱上逆による嘔吐で、

 

《内経》
「諸逆衝上は、みな火に属す」

 

とあるが
病位病理機序が異なる。

 

 

 

胃熱

 

平素から胃に積熱があったり
辛辣で脂っこいものを嗜好して
胃熱が生じ、胃熱によって
胃気が上逆するために発生する。

 

 

特徴:
口渇があり冷たい飲物を欲する・
いらいら便秘・顔面紅潮・
舌質が紅などをともなうことである。

 

 

 

 

肝火

 

肝陽が旺盛なものが妊娠し、
血が胎を養うために
肝陰がより不足し
肝陽がさらに上充したり、
肝鬱化火し、肝火が胃に
横逆したために発生する。

 

 

「胃は本嘔せず、
肝胆これを賊しすなわち幅す」

 

 

特徴:
胸脇部が張って痛む・
いらいら・怒りっぽい・愛気などの
肝気鬱結の症状や、
頭のふらつき目まい・
口が苦い・口臭・舌質が紅などの
肝経鬱熱の症候をともなう。

 

 

 

 

(4)胃陰虚

 

悪阻のため水分の摂取ができない、
摂食不能などが続くと、
胃津が次亡して胃陰虚となり、
胃の和降が失調するために
嘔吐がより強くなる。

 

 

特徴:
乾嘔・口渇・口唇や口内の乾燥
尿量が少ない。便が硬い。
舌質が紅でや乾燥・舌苔が剥・
脈が細数などの症候を呈する。

 

 

 

(5) 妊娠嘔吐について

 

嘔吐は「胃失和降」
の主症状のひとつで

妊娠嘔吐には虚実、寒熱の違いがある。

 

 

胃気虚では気虚で納穀できないために
食べるとすぐに嘔吐する。

 

 

胃陽虚では水穀の腐熟ができないために
不消化物や水様物を唱吐し、
寒冷によって増悪する。

 

 

胃熱では量吐がつよく、
痰飲では水様物や泡沫状で
粘稠なものを多量に嘔吐する。

 

肝火では酸味、苦味の吐物がみられる。

 

↓悪阻(つわり)の症例はこちら
https://kaede-an.com/treatmentcollection

 

 

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