生理痛、月経時痛、月経困難症

生理痛

生理の時の下腹部痛や頭痛、
精神的にもイライラして
体調管理が難しいという方
多くご相談頂きます。

女性の方は生理中や生理の前後で
なぜ体調を崩してしまうのか?
を考えた時、
そもそも卵巣や子宮は、
内臓から作られた気血によって
潤い養われており、
その内臓の不調があると
卵巣や子宮もうまく栄養できず
結果的に月経前後の体調も乱れてしまう
といった現象が起きます。

では、どの内臓の不調からくる
ものなのか?を考えた時、
人によっては胃腸の不調からくるもの。
人によっては肝胆の不調からくるもの、
他にも様々な臓腑の不調も考えられ、
卵巣や子宮に影響が出てきます。

東洋医学では、
婦人科の疾患だからといって
卵巣や子宮だけを診るのではなく、
五臓六腑を重視して診てゆきます。
なので、患部(陰部)を見たり、
触診したり、施術したりはしません。
あくまで五臓六腑に由来する
経絡経穴(手・足・背中など)
を中心に診てゆきます。

 

ここでは、
生理痛・月経困難症に関する
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。

 

 

 

 

西洋医学の見解

 

 

生理痛とは?

 

思春期の女性の体の中では、
排卵とあわせて
子宮の粘膜に変化が起こります。

 

 

卵巣は卵胞内で
卵が成長している間に、

脳下垂体前葉から刺激を受けて、
将来の妊娠に備えて
子宮の内膜を厚くします。

 

 

このとき、排卵された卵が
受精されないと、
子宮の内膜は外に排出されます。
これがいわゆる月経です。

 

 

生理痛はこうした月経が始まる時や、
人によってはその1週間位前から
起こる不快な症状のこと。

 

 

下腹部の痛みや
腰全体に広がる痛み、
頭痛など発生する症状や
その程度には個人差があり、
一概にはいえませんが、
この個人差はホルモンの変化や
精神的なものが引き金となって
起こると考えられています。

 

 

 

 

生理痛の仕組み


月経直前になると、

子宮内膜でつくられる生理活性物質、
プロスタグランジンの分泌量が
急激に増えます。

 

子宮の収縮を促して
経血を排出する働きをするのですが、
分泌が多すぎると
下腹にキリキリした痛みなどが出ます。

 

また、血管を収縮させて
腰痛や冷えを招くことがあり、
吐き気や肩こりを訴える人もいます。

 


月経後半には
プロスタグランジンの分泌は減りますが、
骨盤周辺の血液の流れが悪くなり、
鈍痛や腰周辺の重さを
感じやすくなります。

 

 

生理痛は、
子宮内膜症や子宮筋腫、
子宮腺筋症などの病気が原因に
なることもあり、
月経困難症の場合は
これらの病気が隠されていることも
考えられますので、
早期の受診をお勧めします。

 

 

 

生理痛

 


生理痛から疑われる病気

 


①月経困難症


生理が重い、生理痛がひどい等を

月経困難症といい、
月経の際に日常生活に支障をきたしたり、
寝込んだり鎮痛剤を必要としたり
する場合を指します。

 


この痛みの程度は人により異なり、
下腹部痛・腰痛、頭痛、
嘔吐、失神までいく場合もあります。

 

 

 

②月経前症候群

 

生理前に起こる
様々な体調トラブルの総称。

 

症状を自覚する時期には
個人差があり、
排卵時期から生理開始まで
体調不良が続く方もいれば、
生理開始の前日に
少しだけ症状がある方もいます。

 

主な症状は2つ。

 

 

・下腹部の痛みや膨満感、
乳房の痛み、肌トラブル、
むくみ、頭痛、めまい、
肩こりなどの身体症状

 

 

 

・イライラや情緒不安定、
憂うつ感、注意力の低下、
睡眠障害といった精神症状

 


これらの症状は、
ホルモンバランスと
脳内物質の変化に
深く関係しているといわています。

 

 

 

生理痛

 

 

東洋医学の見解

 

 

生理痛は 「痛経」 と呼ばれ、
痛みのある月経という意味がある。

 

生理痛はよくみられる疾病であるが
検査などを行っても
何ら問題のないときも多い。

 

 

しかし、患者の自覚症状は強く、
日常生活にも支障があるため
治療が必要である。

 

 

「痛経」には
月経不順をともなう生理痛、
重症の子宮内膜症の痛みなど痛み
を主訴とするものが含まれている。

 

 

 

(1) 肝鬱気滞と血瘀

 

いずれも実証。

 

肝鬱気滞

 

内傷七情により肝気鬱結し、
気滞が生じたために血が停滞、
胞宮を阻滞することにより発生する。

 

 

特徴:
月経前および月経期に
下腹部が張って痛み、
月経前の数日は胸苦しい・
乳房が張るといった感じがあり、
月経終了後には消失することである。

 

 

血瘀

肝鬱気滞が長期化して血瘀が生じたり
古くから血瘀が存在し
瘀血が胞宮を阻滞するために発生する。

 

 

特徴:
つよい腹痛があり持続期間も長く
経血が暗紫を呈し,
凝血塊が排出すると疼痛が軽減。
口唇や舌の紫暗をともなうことである。

 

 

(2) 湿熱

 

欲求不満による
肝鬱脾虚で肝鬱化火と脾虚生湿で
湿熱となったり、
辛辣なもの味の濃い

ものの階好で湿熱が生じたり、
月経期に性交して
湿熱の邪が侵入したりし、
湿熱が胞宮に停滞して
気血の運行を阻滞するために発生する。

 

 

特徴:
月経期の腹痛のほか、
ふだんから微熱・黄色の帯下・
尿が濃い頻尿・舌質が紅・
舌苔が黄膩・脈が数などの
湿熱の症候を呈することである。

 

 

生理痛

 

 

(3) 寒湿と衝任虚寒

 

 

いずれも寒証を呈するが、
実寒と虚寒の違いがある。

 

 

 

寒湿

寒湿の邪が衝任に停滞して
気血の運行を阻害するために発生する。

 

 

特徴:
月経前あるいは
月経期に下腹部が冷えて痛み、
経血が暗紅で凝血塊を混じえ、
舌苔が白臓・舌質が暗で瘀斑がある・
脈が沈緊あるいは
沈細などを呈することである。

 

 

 

衝任虚寒

 

腎腸虚のために虚寒が生じ、
衝任の気血の運行が
無力になって発生する。

 


特徴:

月経期あるいは
月経終了後に腹痛が生じ、
経血量が少なく淡色で、
舌苔が薄白・舌質が淡で嫩・
脈が沈弱などの
虚寒の症候を呈することである。

 

 


(4) 肝腎陰虚と気血両虚

 

いずれも虚証であるが、
病因・病理機序が異なる。

 

 

肝腎陰虚

 

肝腎陰虚の体質や
房室不節による
腎陰の消耗が基本にあり、

月経によって血海がさらに不足し、
胞脈が栄養されないために発生する。

 

 

特徴:
月経終了後に下腹部の鈍痛が生じ、
経血量が少ない・月経周期の延長・
腰や膝がだるく無力・頭のふらつき・
耳鳴・舌質が紅・舌苔が少ない・
脈が沈細で数などの陰虚
の症候をともなうことである。

 

 


気血両虚

 

虚弱体質・大病のあとや久病などで、
気血が不足して運行が無力に
なったために発生する。

 

特徴:
経血量が多かったり少なかったりし、
経血が淡色でうすく、
顔色が白いあるいは
萎黄・倦怠感頭のふらつき・
動悸・声に力がない元気がない・
舌苔が薄白・舌質が淡。
脈が虚細などを呈することである。

 

 

 

・弁証の要点
痛経では身体的症候が
一定であるとは限らないため
疼痛の部位・時期・性質などを
考慮したうえで、
総合的に弁証する必要がある。

 

 

部位

 

下腹両側の痛みは気滞が多く、
胸脇部に放散することもよくある。
下腹中央の移痛は血瘀が多く、
腰部~尾底部に放散することもよくある。
腹全体の移痛は脾胃不和のことが多い。

 

 

時期

月経前・月経期の腹痛は実証が多く、
月経終了後の腹痛は虚証が多い。

 

 

性質

疼痛に下墜感をともなったり、
間歇的であったり、
はった感じがつよいものは気滞である。

 

 

持続性の疼痛で凝血塊を混じえ、
凝血塊が排出すると
落痛が軽減するのは血瘀である。

 

 

 

ひきつるように痛み、
圧痛があるのは実証・熱証で、
鈍痛で押えると
楽にてなるのは虚証である。

 

絞約痛は寒証で、
刺すような痛みは熱証・血瘀である。

 

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