関節リウマチ

関節リウマチ

関節リウマチは、
東洋医学では痺証と呼ばれ、
内臓の弱りから来ているものと
考えられております。

虚弱体質だった方に多く、
カゼをひくと体の節々が
痛くなる現象がありますが、
リウマチはあの症状の延長にあるものと
捉えたらわかりやすいでしょうか。

体の強い人もカゼをひくと
節々痛くなりますが、
1〜2日でケロッと良くなります。
ただ、体が虚弱な人は
延々とあの痛みが続いているような
状態で、慢性化すると骨も曲がるくらい
ズキズキ痛んでしまいます。

内臓の働きが強ければ
割と早く改善しますが、
もともと幼少時から
虚弱体質だった方の場合は
コツコツ体の土台から強くして
いかないとなかなか痛みが取れません。

鍼灸では、
内臓の働きを扶けることで
根本的に体を強くすることができます。

 

こちらでは関節リウマチに関する
西洋医学と東洋医学の見解を
ご紹介致します。

 

 

 

西洋医学の見解

 

 

関節リウマチとは、
指・手首・肘・肩・膝・
足首・足の指などの
関節に炎症が起こり、
関節が腫れて痛くなる病気です。

 

進行すると、
体の関節が変形したり、
正常に機能しなくなってしまう
ことがあります。

 

 

この関節リウマチ、
人口の0.4~0.5%、
30歳以上の人口の1%にあたる人が
この病気にかかるといわれています。

 

また、
30~50歳代の女性の発症率が高く、
特に40歳代が
もっとも多いことがわかっています。

 

 

関節リウマチ

 

 


原因

はっきりとした原因は不明。
先天的な遺伝的要因と、
後天的な環境要因が関係しています。

 

 

 


遺伝的要因

一卵性双生児では一方が

関節リウマチを発症した場合、
もう一方も発症する確率は
15-30%と報告されていること。

 

さらに、
母が関節リウマチである場合に

子供も発症する確率は3〜5%と
言われております。

 

 

また、近年HLA-DR遺伝子や
PADI4遺伝子など、
発症に関与する遺伝子が
いくつか報告されており、

環境要因としては、

喫煙、エストロゲンなどの性ホルモン、
歯周病、ウイルスや細菌などの感染など、
様々な要因が言われています。

 

 

この中でも
特に喫煙は近年注目されています。
遺伝的なリスクを持つ人が
喫煙すると発症する確率が
8倍になるとも報告されています。

 

 

 

 

 

症状

 

朝のこわばり
朝起きた時に、手や足を中心に
関節を動かすと
こわばって動かしにくく感じます。

 

 

 

関節の腫れと痛み

関節リウマチの関節炎には特徴があります。

・手や足の関節などに症状が現れる。

・左右対称に炎症が起こる。

・同時に3か所以上の関節炎が起こる。

 

 

 

骨の変形と破壊

関節リウマチが進むと骨が破壊され、
筋肉や靭帯が損傷するため、
関節が変形します。

 

 

関節リウマチ

 

 

 

診断・検査

 

関節リウマチは
問診や体の診察の他、
画像検査や血液検査を組み合わせて
診断される場合が多い。

 

 

レントゲン検査は
関節の全体像を知るうえで
今なお重要な検査だが、
超音波検査では
滑膜の炎症をリアルタイムで観察できる。

 

 

炎症を起こした滑膜は肥厚し、
内部に異常な血流が見られる。
関節液が増えると
拡張した関節腔が観察でき、
骨皮質が虫食い状に
むしばまれている様子(骨びらん)
も比較的早期から診断できる。

 

 

骨びらんの早期診断では
MRI検査も有用であるが、
検査に時間と
コストがかかることが欠点である。

 

 

 

血液検査では炎症反応や
リウマトイド因子、
抗CCP抗体が診断に有用で、
その他甲状腺の検査や抗核抗体、
ウイルス検査などで
関節炎を起こすその他の疾患を鑑別する。

 

 

 

 

治療

関節リウマチに
使われる薬のタイプは大別すると

・抗リウマチ薬

・非ステロイド抗炎症薬

・ステロイド薬

の3種類。

 

 

 

抗リウマチ薬

関節リウマチの炎症を抑えます。

 

 

非ステロイド性消炎薬

抗ステロイド剤でも
残る腫れや痛みには、

非ステロイド性消炎薬で痛みを抑えます。

 

 

ステロイド

長い治療経過中に起きる
強い炎症のピーク期には、
ステロイド(副腎皮質ホルモン)
薬を一時的に用いるのが原則。

 

 

 

ただ、
関節リウマチは人によって
進行度合いや
症状の具合が異なるため、

患者さんの様子を見ながら、
最も適していると思われる薬
で治療を行っていきます。

 

 

 

関節リウマチ

 

 

 

東洋医学の見解

 

 

四肢疼痛とは、
上肢下肢あるいは
上下肢の筋肉、関節・軟部組織
などの疼痛を指しており、
古典にも様々な表現で記されている。

 

 

《内経》
「肢節痛」 「骨痛」
「手腎痛」 「脚下痛」
「腰股痛」
「股・膝・髀・腨・胻・・足みな痛む」

 

 

《傷寒論》
《金貫要略》
「歴節痛」 「四肢疼」
「骨節疼痛」

 

 

後世
「痛風」「風腰腿疼痛」
「風走注疼痛」「肩臂痛」
「手指痛」 「大股痛」 「足痛」
「足跟痛」「足心痛」「腿痛」
「柳拐子病」

 

 

《内経》
「行痺(風痺)」
「痛痺(寒痺)」
「着痺(湿痺)」
「熱痺」
「筋痺」
「脈痺」
「肌痺」
「皮痺」
「骨痺」
「周痺」
「衆痺」

 

 

 

1. 風邪阻絡・
寒邪阻絡・湿邪阻絡

 

 

風寒湿邪(痺証)

 

 

痺とは「閉」のことで、
閉塞して通じないために
疼痛が発生する。

 

 

《素問・痺論》
「風寒湿の三気雑して至り、
合して連をなすなり。
その風気勝るものを行卿となし、
寒気勝るものを痛痺となし、
湿気勝るものを着痺となすなり」
とある。

 

 

上肢・下肢は六経が循行するところで、
風寒湿の邪がもっとも侵襲しやすい。

 

 

 

《済生方・諸痺門》

「みな体虚し膜理空硫なるにより、
風寒湿の気を受けて連をなすなり」
とある通りである。

 

 

病邪のいずれが
勝るかによって症候が違う。

 

 

 

三者の病因・病理機序・
疼痛の性質
・特徴などによって、
鑑別する必要がある。

 

 

 

・風邪阻絡

 

《諸病源候論・四支痛無常処候》
「風邪は気に随いて行り。
居後のときは、邪気すなわち勝り、
正気と交争して相撃ち、
痛は虚に随いて生ず、
ゆえに学加なきなり」

 

 

《聖済総録・諸陣門》

「風は陽の気たり、
善く行り数変じ、ゆえに風気勝れば
すなわち行陣をなし、
その証は上下左右し、
留止するところなく、
その所に随いて至り、
気血通ぜざるこれなり」

 

 

多発性の関節痛を呈し
疼痛が遊走するのが特徴。

 

 

 

・寒邪阻絡

《聖済総録・諸痺門》

「寒気は経に入りて
稽遅するをもって、

泣して行らざるなり。
痛は寒気の偏勝にもとづき、
寒気偏勝すれば、
すなわち陽気少なく陰気多し」

 

 

とあるように、
疼痛がつよく固定性で、
四肢の冷えをともなうことが特徴。

 

 

 

・湿邪阻絡

《聖済総録・諸痺門》
「地の湿気感ずれば
すなわち人の皮肉筋脈を害す、
けだし湿土たるや、土性は緩なり。
栄衛の気、湿とともに留まる、
ゆえに湿盛なれば
すなわち著して移らざるなり、
その証汗多くして濡れるもの、
陰気盛なるをもってなり」

 

 

 

固定性で重だるい疼痛で、
痺れ・だるく痛むなどの
症状をともなうのが特徴。

 

関節リウマチ

 

 

 

(2)熱邪阻絡と湿熱阻絡

 

いずれも熱証を呈するが
病因・病理にやや違いがある。

 

 

 

熱邪阻絡

陽気の体質で内熱がある人が
風寒湿邪を感受して発生する。

 

 

特徴:
《金匱翼》
「臓腑経絡まず蓄熱を有して、
また風寒湿の気に遇いてこれを客し、
熱は寒のために鬱し、
気は通ずるを得ず、
久の寒また熱と化し、
すなわち㿏痺熻然として関すなり」

 

 

四肢の関節の発赤・熱感・
疼痛がみられることである。

 

 

 

湿熱阻絡

湿熱の邪の侵襲・湿盛のものが
熱邪の侵襲を受ける・

湿邪が長期のうちに
化熱するなどの原因で、
湿熱が織結(停滞簡結)して発生する。

 

 

特徴:
四肢が重だるい・脈が滑・
舌苔が膩など。

 

 

 

以上の両証は
熱証が明らかなところから、
風寒湿によるものとは
容易に鑑別できる。

 

 

 

 

 

(3) 気血両虚

 

気血がともに虚したために、
経脈を需養し温煦できないと、
四肢の関節痛が生じる。

 

 

特徴:
顔色が蒼白・筋肉のやせ・
倦怠感・物を言うのがおっくう
などの症候がみられ
血は気に随って行るので、
気虚では血行が不十分となり、
経脈が瘀阻されて血瘀が生じ、
固定性の刺すような疼痛・
るい痩・肌膚甲錯・関節の拘縮
舌の瘀点などが発生する。

 

 

気虚では脾の運化が低下して
痰濁が発生する。

 

 

 

 

痰濁

四肢の疼痛・身体が重だるい。
舌苔が白臓などがみられる。

 

 

 

(4) 肝腎両虚

 

肝は筋を主り、腎は骨を主るので、
肝腎がともに虚して
筋骨が栄養されないと、
四肢の疼痛が生じる。

 

 

特徴:
筋肉・関節が弛緩
あるいは拘縮してだるく痛み・
腰や膝がだるく無力・尺脈。
弱などの症候をともなうことである。

 

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