睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、
眠っている時に何度か
呼吸が止まってしまう疾患です。

人間は眠っている間に、
臓腑間で連携を取り
体の中で疲れを修復して

朝にはスッキリ起きれるよう
できていますが、

臓腑の働きが鈍いと
連携がうまく取れず、

寝ている間の呼吸が
浅くなってしまいます。
呼吸が浅いとイビキをかいたりして

体の修復がうまくできず
朝起きてもスッキリしません。
起きてる時でも呼吸が浅いと
心身共に不安定になるので、
寝ている時の呼吸というのも
体を休める意味では
とても重要なことになります。

呼吸=肺臓が担っているわけですが
肺というのは陰圧なので
呼気で働きますが、吸気は別の
臓腑の力を借りて空気を吸い込みます。
(風船をイメージすれば
わかりやすいです。
風船は空気を入れても
栓を塞がなければ
勝手に空気が抜けていきます。)
なので、睡眠時無呼吸症候群は
呼吸器系の疾患ではありますが
肺だけではなく、他臓腑の状態を
詳しく診ることがポイントになります。

 

ここでは、
睡眠時無呼吸症候群に関する
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。

 

 

 

西洋医学の見解

 

睡眠時無呼吸症候群は、
寝ている最中に無呼吸の状態が
何回か続いてしまう病気のことで

Sleep
Apnea
Syndrome

の頭文字をとって
SASと呼ばれている。

 

医学的な定義では
「無呼吸(10秒以上の呼吸停止)
ひと晩7時間の睡眠中30回以上、
あるいは1時間に5回以上
ある方は睡眠時無呼吸症候群(SAS)
と診断される。

睡眠中に無呼吸を起こすと、
血中の酸素濃度が下がったり、
脳が覚醒させられたりする。
また、呼吸努力が強くなり
胸腔内を陰圧にするため
心臓などに負担がかかる。

高血圧の人や
メタボリック・シンドロームの人、
いびきをかく人や
日中に眠気を感じる人は要注意。

また、
仕事の作業効率が落ちたり、
居眠り運転事故など
起こす危険性が高まり、
大きな損失を招くことになりかねない。

 

 

分類

・閉塞性睡眠時無呼吸症候群

睡眠時に上気道(特に咽頭部)
が閉塞し、努力呼吸はあるが、
無呼吸となる。

 

・中枢性睡眠時無呼吸症候群

脳疾患患者や心不全患者で
呼吸中枢の機能異常により、
呼吸筋への刺激が消失し
無呼吸となる。努力呼吸はない。

 

 

原因

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群の多くは、
舌が気道を塞いでしまい
空気が通らず、無呼吸・低呼吸
の状態に陥りやすいからと
言われている。

首が短くて太い方、
顎が小さい方などは
特に気道が狭い構造となり、
睡眠時無呼吸症候群の
リスクがさらに高まる。

一般的には肥満の方に多い疾患だが
やせている人でもかかる。
また、子どもや女性が
かかることも少なくない。

生活習慣が原因の場合は、
その改善に取り組むと
症状の改善・予防が期待できる。

肥満による顎や首周りの脂肪、
飲酒に伴うアルコールによる
筋肉の弛緩などは、
舌が気道を塞いでしまう
原因になるので、
生活習慣や食生活の改善をめざす。

 

 

治療

CPAP治療は、
SASの最も代表的な治療方法。
他の治療方法にあるマウスピースや
外科的手術などと比べて
成績が良いとされている。

 

 

睡眠時無呼吸症候群


東洋医学の見解

先天的な構造異常に起因しない
いびきについては、
中国医学では「鼾症」
または「鼾眠」と呼ばれる。
いびきは身体的な特徴として
聞診の対象であっても
治療対象として扱われていないが、
いびきが発生する病因病機を
ここにまとめる。

 

 

痰湿内蘊

痰湿は油っこいもの、
甘いものの飲食や
酒の呑み過ぎにより生じる。

痰湿が長期にわたって体内に停滞し、
鼻腔やのどに溜まると気道が狭くなり、
いびきをかき呼吸が
困難になることがある。

 

特徴:
・痰が多い
痰湿が停滞した症状。

・胸腹部の張満感
痰湿が停滞して
気のめぐりが悪くなった症状。

・悪心
胃に停滞している痰湿と胃気が
一緒になって上逆する症状。

・食欲亢進
体内にこもった痰湿が熱に変化して
胃熱が盛んになると食欲が亢進する。

・身体が重い
痰湿が四肢に流れ込み留滞した症状。

 

治方:
化痰利湿

 

 

脾気虚弱

脾胃虚弱体質、あるいは
病後や手術などにより
脾胃の気が不足すると、
脾の運化機能が減退するため
体内に水湿が停滞する。

さらに水湿は痰湿を形成し
痰湿内蘊の状態になる。

 

特徴:
・疲労感
脾の四肢・筋肉を主る
機能が低下した症状。

・食欲不振
脾の運化機能が低下した症状である。

・息ぎれ
脾気虚弱が肺に影響し
肺気不足の症状が現れる。

・汗が出やすい
肺気不足による
固摂機能の減退症状である。

・嗜眠
陽気が湿邪に阻害されて、
全身に分布できないためにおこる。

・身体が重い
湿邪が停滞するため
体が重く感じられる。

 

治方:
健脾益気

 

睡眠時無呼吸症候群


肝気鬱結

精神的な刺激を受け、
情緒不安定な状態が続くと
肝気は暢びやかにめぐらず滞る。
長期的な肝気鬱結から生じた熱が
脾胃に影響すると (木克土)
胃熱が旺盛になり
食欲が異常に亢進するため
過食が続いくと痰湿が生じる。
痰湿が長期的に化熱すると
湿熱の症状として鼾が発生する。

 

特徴:
・イライラ
肝の疏泄機能の失調による症状である。

・胸脇腹痛
胸脇部を走行している
肝経に気が滞った症状。

・不眠
肝火が上昇して
心の蔵神機能を乱した症状。

・過食気味
肝鬱化熱が胃に影響し
胃熱が生じると食欲が異常に亢進する。

・便秘
胃熱が腸に移ると腸燥便秘がみられる。

 

 

治方:
疏肝理気・清熱通腑

 

 

肝胆湿熱

飲酒と飲食の失調により
痰湿が生じこれが長期に
停滞すると化熱して
湿熱の症状が現われる。

湿熱邪気は一般に脾胃に
停滞しやすいが肝胆にも停滞する。

湿熱によって肝胆の疏泄機能は減退し
肝鬱胆熱の症状が生まれる。

 

特徴:
・口苦・口粘
湿熱に燻蒸されて胆汁が上昇する症状。

・赤ら顔・目の充血
肝胆の熱盛によって
気血が上逆した症状。

・軟便
湿熱が下焦に影響すること
によって現われる症状。

 

 

治方:
清熱利湿・疏肝利胆

 

 

 

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