胃痛
胃腸薬で整えてもまた出る胃の痛み。
薬は痛みを抑えてはくれても
胃の代謝を扶けてくれる
わけではありません。
胃の症状だから胃に原因があるのか?
を考えた時、東洋医学では、
五臓六腑は皆連携して働いている
と考えるので、他臓腑の調子も
併せて診てゆきます。
他の臓腑が暴れてるため、
胃が虐められている場合があったり、
下で支えてくれている臓腑が
元気なくしている為、
胃もヘナヘナしてしまっている場合が
あるので、胃の痛み=原因は胃と
考えるのは安易な時があります。
ここでは胃の痛みに関して
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。
西洋医学の見解
胃痛は
・シクシクと鈍い痛みが続く
・キリキリと鋭い痛みがする
・ズキズキと脈打つ
・キューっと締め付けられる
など症状は様々で、
胃痛の症状によって緊急性が異なります。
胃の痛みは症状によって
診察の有無があります。
すぐに診察の必要がないもの
・短期間で胃痛の症状が収まる
・症状が一時的で繰り返し起こらない
即診察が必要な緊急性の高いもの
・胃痛が長時間続く
・胃痛に胃もたれの症状が伴う
・胃痛に胸やけの症状が伴う
・痛みが治まったり、
ぶり返したりを繰り返す
・胃痛に発熱や下痢、便秘の症状が伴う
後者の緊急性の高い胃痛の場合は、
なるべく早く消化器内科を受診しましょう。
原因
①食生活
・暴飲暴食
・脂っこい食事
・消化に悪い食べもの
などを摂取し続けると、
胃酸の分泌が高まって
胃の粘膜が傷ついて胃痛が起こります。
また、香辛料やアルコール等も
胃酸の分泌が高まるので
注意が必要となります。
②ストレス
胃や十二指腸などの働きを
コントロールしている自律神経が
ストレスなどの影響で乱れると、
胃の働きが悪くなったり
胃酸が過剰に分泌されて、
胃の粘膜を傷つけてしいまいます。
その結果、胃痛が起こります。
③ピロリ菌
胃の中は強い酸の影響によって
細菌は生息できませんが、
ピロリ菌はウレアーゼという
酵素によって尿素から
アンモニアを作って、
自分の周囲を酸性から
アルカリ性に変化させることができます。
胃の中で生息することができる
ピロリ菌に感染すると、
胃の中の粘膜を傷つけて、
胃痛が起こります。
疑われる病気
①消化性潰瘍
(胃潰瘍・十二指腸潰瘍など)
胃や十二指腸の粘膜が、
胃液によって傷つけられた状態。
日常的に、一番起こりやすい
病気である。
症状:
胃の痛みや不快感・むかつき・
嘔吐・食欲低下・吐血が起こります。
多くは、安静にして食事に
気を付けていると、
2〜3日で治る病気です。
原因:
ウイルスへの感染・食中毒・
刺激の強い食べ物の摂りすぎ・
暴飲暴食・アルコールの摂りすぎ・
薬の副作用・アレルギー・ストレス、
と多々あります。
検査:
超音波・内視鏡検査が行われます。
激しい嘔吐や腹痛・高熱がある、
胃の痛みといった
症状が治まらない場合は、
消化器科か一般内科、胃腸科、
かかりつけ医へ
受診することをおすすめします。
②神経性胃炎
精神的な不安や苦痛、ストレス、
寝不足、仕事による疲れが原因で、
引き起されます。
症状:
激しい胃痛・吐き気・全身倦怠感・
食欲不振・体重減少・胃もたれ・げっぷ。
また、心身症の症状
(ふらつき・不眠・不安・抑うつなど)
もみられます。
検査:
血尿、内視鏡、腹部超音波、
便に血が混じっていないかという
検査をした後、
内科や精神科医の問診で判断されます。
③胃アトニー
胃下垂
(胃が正常な位置より
垂れ下がっている状態)が原因で、
胃の動きが弱っている状態のこと。
症状:
胃痛・胃もたれ・げっぷ・むかつき・
食欲不振・精神疲労・
胃が張ったような痛み・
すぐ満腹になってしまう、など。
検査:
バリウム検査で判断されます。
食後に、体の右側を
下にして横になると、
症状が軽くなる特徴があります。
④胃粘膜下腫瘍
胃の壁に腫瘍や、隆起ができる
病気のことを指します。
症状:
腫瘍が小さい時は、
ほとんど症状がないが
時々腹痛・胃の痛みや
不快感がおこることがあります。
腫瘍が大きくなるにつれて、
吐血・下血(肛門から血液が出てくる)
の症状が出てくることがあります。
検査:
内視鏡・超音波検査で
発見できるものです。
あまりに腫瘍が大きくなると、
摘出手術が必要になります。
⑤胃癌
日本の死亡数の男性第2位、
女性第3位の病気。
症状:
胃の痛み・不快感・
膨らんだような感じ・
胸やけ・げっぷ・吐き気・
食欲不振・貧血・
体重減少がでてきます。
胃癌は、
症状では他の病気と区別ができない。
原因:
ピロリ菌ではないか、
と考えられています。
検査:
内視鏡検査と
X線検査で判断が行われます。
⑥機能性ディスペプシア
原因となる疾患がないにもかかわらず、
慢性的にみぞおちが痛くなったり、
胃もたれがおきたりする病気のこと。
病院の検査では原因不明とされる。
⑦胃痙攣
胃痙攣自体は、病気ではないが
みぞおち部分を中心に
突然発症するもので、
激しい痛みを伴います。
痛みは、
数分~2時間ほど続くこともあり
胃や十二指腸炎や急性膵炎・便秘
といった他の部位の病気が原因で、
胃けいれんを引き起こします。
東洋医学の見解
胃院痛とは
心腐部付近の整痛を指し
「胃痛」 ともいう。
《素問》
「胃脘は心に当りて痛む」
《景岳全書》
「心腹痛」
《寿世保元》
「心胃痛」などは胃脘痛のことである。
病因と病理機序から、
虚痛・気痛・熱痛・寒痛・瘀痛・
食痛・虫痛などに分類できる。
古代医書にみられる
「心痛」「心下痛」などには
胃院痛も含まれていることが多いが、
「真心痛」と区別する必要がある。
「真心痛」は
左胸部の発作性のつよい疼痛で、
錐を刺すような痛みや
胸部のつまるような苦閥感を呈し
疼痛は左肩甲から上腕内側に
放散するので
「心痛徹背」 と形容される。
重篤な場合は
《霊枢・厥痛》
「真心痛は、手足は清えて節に至り
心痛甚しく、且に発してタに死し、
タに発して旦に死す」 と記されて
いる通りである
(心筋梗塞に相当する)。
予後・治療法ともに
胃院痛とは明らかに違うので
混同してはならない。
《傷寒論》大結胸証
「心下痛」も心窩部の疼痛であるが、
病邪の性質と病変部の範囲が異なる。
大結胸証は
風寒の邪が裏に入って化熱し
水熱互結して生じ、
疼痛部は心窩部から
下腹部にわたるが、
胃脘痛は
内傷の雑病でみられることが多く、
上腹部に限局している。
(1) 脾胃虚寒と寒邪犯胃
いずれも寒証。
温めると痛みが軽減するが、
虚寒と実寒の違いがある。
脾胃虚寒
気虚の体質あるいは
慢性病による消耗などで
牌胃の陽虚をきたして内寒が生じ、
胃が温養されないために発生する。
特徴:
胃の鈍痛があり、
押えると楽になる。
舌質が淡舌苔が白・
脈が沈遅あるいは緩弱などの
虚寒の症候を呈することである。
寒邪犯胃
寒冷に曝されたり
生ものや冷いものを
多量に摂取したことなどにより、
寒邪が裏に入って
脾胃を侵したために生じる。
特徴:
突然に生じる絞めつけられるような
強い疼痛で、舌苔は白・脈は緊など
実寒の症候をともなうことである。
(2) 肝火犯胃と胃陰虚
いずれも熱証で、
口の乾き・便秘・舌質が紅・
脈が数などがみられるが、
病因と病理機序が異なる。
肝火犯胃
情緒の抑うつによる肝鬱化火、
辛辣な食物や
味の濃厚な食物の噴好
による胃熱、
温熱性の薬物の過用による胃熱、
六淫の邪の化熱入裏などにより、
火熱が脈絡を塗阻して
気血を失調させたために発生する。
弁証の要点:
急性のはげしい胃痛、
口渇水を飲みたがる、
顔面紅潮・目の充血・呼吸が粗いなど
実熱の症候をともなうことである。
胃陰虚
慢性の胃病による陰血の消耗、
熱性病による
津液の消耗などによって、
胃が濡養されず
脈絡が拘急するために発生する。
弁証の要点:
慢性の胃部の鈍痛、
口が乾くが飲みたくはない、
手のひら足のうらのほてり、
舌質が紅・舌苔が少ないあるいは無苔、
脈が細数などの
陰虚の症候をともなうことである。
(3) 肝気鬱結と血瘀
いずれも実証であり関連性がある。
肝気鬱結
内傷七情で肝気が鬱結し、
肝の疎泄が不充分になったために
胃の和降が失調し、
胃気が阻滞されて
通じないために発生する。
特徴:
痛みに張った感じをともない、
部位は固定的ではなく、
胸脇部が張る ·
噯気などの気滞の症候を
呈することである。
血瘀
気滞が持続して血瘀を生じたり、
胃痛が慢性化して 「久痛入絡」 し
瘀血が停滞するために発生する。
特徴:
固定性の刺痛・吐血・テール便
舌質が紫などの
血瘀の症候をともなうことである。
(4) 食滞
暴飲暴食により
食物が中焦に停滞するために発生する。
弁証の要点:
暴飲暴食の既往があり、
胃部が張って痛む・圧痛・食べたくない・
腐臭や酸臭のある
噯気・舌苔が厚賦など
の食積の症候をともなうことである。
気滞の胃痛では、
痛みが両脇部に放散したり
胸脇が張って苦しいなど
気滞の症候がみられ、
情緒の変動にともなって
胃痛が発生あるいは増強し、
噯気に腐臭がなく、
舌昔は厚賦ではないなどの点で
本証と区別できる。
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