脳卒中の後遺症

脳卒中のことを東洋医学では
中風といいます。
片側の運動麻痺が起こるわけですが
脳の疾患だから脳を栄養し
養うことで、回復が早くなります。
では、脳はどこから栄養を受けているか?
を考えると、脳に限らず全ての器官は
内臓で生成された気血により
栄養され機能しています。
東洋医学ではこの内臓を重視し、
いかに弱った内臓を見つけて
その代謝を扶けることができれば
御体の状態はかなり変わります。
当院では、その内臓に
由来する経絡や経穴を使って
体の中から変えていく東洋医学の
鍼灸術があります。

 

ここではその脳卒中に関しての
西洋医学と東洋医学の
見解の違いをご紹介致します。

 

 

 

西洋医学の見解

麻痺について

 

麻痺とは、
脳や神経などが脳出血や
脳梗塞によって損傷されることで、
運動することや感じることが
障害される後遺症のこと。

脳の前頭葉にある動きの中枢から、
脊髄、手足の神経(末梢神経)を
通って筋肉に命令を伝えて
手足を動かすが、
これらの経路に異常があると、
脳からの命令が手足に伝わらず
麻痺が起きる。

 

麻痺には軽いものから
重いものまであり
「麻痺はあるが少しは動く」不全麻痺、
「全く動かない」完全麻痺
などがある。

 

軽い麻痺では、
「手足がなんとなく重い」、
「細かい手足の動きができない」
こともある。

 

麻痺について

 

運動麻痺による
運動障害の症状としては、
損傷した脳と反対側の体が
動かしにくくなり、
特に手指の細かい動きや
足首が動かなくなることが多い。

これらが影響して、
歩行能力の低下や日常生活動作が
行えなくなるなどの問題が生じる。

また、喉に麻痺が生じると
飲み込みがしにくくなる
嚥下障害が生じる事もある。

また感覚障害においては、
麻痺によって触れている・
動いているなどの感覚が
分からなくなったり、
温度や痛みが分からなくなるなど、
人によりいろいろな症状がある。

 

 

言語障害

言語障害になると、
言葉を理解することが
できなくなったり、
伝えたいことも伝えられなく
なったりするため、
意思の疎通ができなくなる。

さらに言葉に対してだけではなく、
文字に関しても書けなくなる
という症状が出ることもある。

 

 

認知障害

認知機能とは、
記憶や社会的なものごとの理解、
空間の認識など、
高次な機能を司る能力です。

脳卒中を発症すると、
損傷した脳の場所や
大きさなどによっていろいろな
認知機能の障害が生じ、
これらを総称して
高次脳機能障害と言う。

 

先ほどの言語障害を始め、
記憶障害、空間認知障害、
失認など人によって
異なった障害が見られる。

 

 

 

リハビリ

神経機能の回復のメカニズムは
まだ良く分かっていないことも多いが、
少なくとも早期に
リハビリテーションを開始すると、
機能予後は格段に良くなることが
分かっている。

リハビリテーションは
体の運動機能の回復だけでなく、
心理的・社会的な回復も意味する。

 

一人ひとりの障害・程度に応じた
リハビリテーションを行うことで、
その人がもともと行っていた
日常生活にスムーズに戻れるように
していくことが重要。


また、リハビリテーションは
本人だけでなく、家族や友人などの
周りのサポートや理解も
重要なポイントとなってくる。

 

半身麻痺

 

東洋医学の見解

 

半身不遂は「偏癱」ともいい、
左側あるいは右側の半身の
運動麻痺を指す。
上・下肢の麻痺に顔面麻痺
をともなうことが多く、
経過が長くなると
筋肉の萎縮を来たしたり痺れ
を呈することも多い。

中風 (脳血管障害)
の後遺症としてよくみられる。
「半身不遂」 の症候はまず
《内経》 にみられ
「偏枯」 と記載されている。

 

《金要略・中風歴節病脈証並治》
「それ風の病たる、まさに半身不遂す」

 

《諸病源候論》
「風半身不随候」
「風偏枯候」
「偏風候」
などとあるが、
すべて半身不遂のことである。
後世の歴代文献では
「中風」 として記載されている。

 

 

・風中経絡と肝陽化風

両者の症状は似ているが、
原因と病理機序が異なる。

 

 

・風中経絡

正気不足のために脈絡が空虚で
腠理が硫鬆であり、
風邪が虚に乗じて侵入し、
痰湿を動かして経絡を塞ぎ、
気血が停滞して発症する。

 

特徴:
外感風邪であるから、
発熱・悪寒・舌苔が白膩・
脈が浮あるいは弦緊などの
表証をともなうことである。

 

治法:
祛風通絡・養血和営

 

 

・肝陽化風

肝腎陰虚で肝陽上亢が生じ、
肝陽が亢じて化風し、痰をともなって
経絡を阻塞して清竅を
ふさいだために発症する。

 

特徴:
肝陽上亢・気血上逆であるから、
頭痛・めまい・顔面紅潮・目の充血
舌質が紅・脈が弦数などの
症候をともなうことである。

 

 

治法:
平肝潜陽・滌痰通絡

 

半身麻痺


・痰火内閉と湿痰内閉

いずれも痰湿が清を蒙閉した
「閉証」である。

 

 

・痰火内閉

肝陽暴張で
陽亢風動して気血が上逆し、
肝火が熱痰をともなって
上逆して発症する。

 

特徴:
顔面紅潮・呼吸が粗い・
舌質が紅・舌苔が黄膩・
脈が弦滑で数などの
痰火の症候を示すことで
「陽閉」に属する。

 

 

治法:
辛涼・芳香開竅

 

 

・湿痰内閉

飲食不節のために
脾の運化が失調して痰が生じ、
痰が陽気の運行を阻滞して発症する。

 

特徴:
顔色が白い 口唇のチアノーゼ・
四肢が冷たい・ 舌苔が白滑膩
脈が沈滑などの
痰湿の症候を示すことで
「陰閉」に属する。

 

 

治法:
辛温・芳香開竅

 

 

・陽気虚脱と陰脱陽浮

いずれも「脱証 」で危急症候である。
意識障害があるので
半身不随の確定が困難であり、
詳細に観察して
顔面神経麻痺や肢体の動きから
判定しなければならない。

両証ともに意識障害・自汗・
手をだらんと拡げる・ 口を開く・
遺尿・便失禁などの
「脱証」 を呈するが、
陽気が衰弱して陰陽離決になった
陽気虚脱と、陰液が虚して虚陽上越
となった陰虚陽浮という違いがある。

 

 

・陽気虚脱

特徴:
四肢の冷え・顔色が蒼白・
額の冷汗脈が微細などの陽虚
の症候を呈することで、
「陰脱」に属する。

 

治法:
益気回陽

 

 

・陰脱陽浮

特徴:
両頬部の紅を塗ったような紅潮・
舌質が紅・脈が浮大で
無根あるいは沈細などの
虚陽上越の症候を呈することで、
「陽脱」に属する

 

治法:
壮水制火(滋陰潜陽)

 

半身麻痺

・気虚血瘀

気虚両虚のために
気血の運行が失調して
瘀血が阻絡する (高年者に多い) か、
乳児が出産時の損傷や
頭部外傷を受けて血が停滞したから
中風 (脳血管障害)の後遺症で
気血両虚をともなうなどの原因で、
本証が発症する。

 

特徴:
半身不随とともに
肌膚甲錯・顔色が蒼白・
息ぎれ物をいうのがおっくう・
自汗・疲労感・口唇や爪が淡白
舌の瘀点・脈が細渋などの
気虚と血瘀の症候を
ともなうことである。

 

治法:
補気・活血化瘀

 

 

・肝腎両虚

慢性疾患の消耗・
先天的虚弱などにより、
腎精・肝血が不足して
筋脈を栄養できなくなって発症する。

 

特徴:
筋肉のけいれんやひきつり・
腰や膝がだるく無力・耳鳴・
目がかすむ・ぼけなどの
肝腎両虚を呈することである。

 

治法:
滋補肝腎

 

 

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