全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデス(SLE)は
自己免疫疾患の一つで、
この病の原因について世界的に
多くの研究が行われていますが、
残念ながら今のところ
詳しい原因はわかっていません。
東洋医学では、
全ての病の原因を五臓六腑に求めます。
臓腑間の連携が円滑であれば
病は発症しないものと考えますが、
臓腑のどこかでエラーが起きると
体に様々な症状が出てくるものと
捉えます。全身性エリテマトーデス
といった難病も、
どの臓腑が起因している病なのか?
傾向としては、腎が弱りやすいようだが
腎だけの問題なのか?
他の臓腑の働きはどうなのか?
といったように
東洋医学的な解釈で臓腑の働きを診て、
その方の体に合わせた
施術方法を築く事ができれば
鍼灸で対応可能な疾患です。
こちらでは全身性エリテマトーデスの
西洋医学と東洋医学の
見解をご紹介致します。
西洋医学の見解
自己免疫反応によって
多臓器が同時に障害される
原因不明の疾患。
英名で
Systemic
Lupus
Erythematosus
の頭文字を取って、
SLEと呼ばれることもあり、
男女比はおよそ1:9で
圧倒的に女性に多く、
年齢は20~40歳と若い女性に多い。
輸血や夫婦間で病気が移った
という事例はなく伝染しない病気。
特別な環境と病気の素因を
もっていることが病気を発症させる
原因なのではないかと推測されている。
原因
SLEは遺伝子変異、民族差、
性ホルモンの違いなどの遺伝的な背景、
生活習慣、紫外線への暴露、
ウイルス感染症など
生活する中で受ける様々な影響が
複雑に絡み合うことで発症する。
そのため、現在まで
特定の原因というものは
発見されていない。
症状
・全身症状
発熱、全身倦怠感や食欲不振など、
最初は風邪をひいたかな?と
思う程度の症状でしか認識できない。
それが何週間、何か月も続くことで
ようやく別の病気ではないか
と疑うことになる。
・皮膚症状
有名な皮膚症状は
「蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)」
といって鼻を中心として
両側の頬に蝶が羽を広げたような形に
見える発疹が現れることが多い。
・関節症状
手や指の関節に炎症を起こす。
関節リウマチとも似ているが、
炎症を起こす関節が
移動していくことが特徴的。
・日光過敏症
紫外線に当たると日焼けよりも
ひどい炎症を起こし、
水膨れを作ることがある。
・脱毛
円形脱毛症の様に一部分だけ
ごそっと髪が抜けたり、全体から
まんべんなく抜けることもある。
・口内炎
一度口内炎ができると
なかなか治りにくかったり、
強い痛みを伴う口腔内潰瘍と
なってしまうこともある。
・臓器の障害
その他、全身の血管、肺、腎臓、
中枢神経など、全身の複数の臓器に
障害を引き起こすことがある。
治療
・副腎皮質ステロイド
免疫を抑える薬剤でSLEだけでなく、
気管支喘息やアトピーの治療にも
よく使われている。
・ステロイドパルス療法
通常量のステロイドでは
管理できない場合や症状が
急に悪くなってしまった時には、
一時的に大量のステロイドを
投与することがあり、このことを
「ステロイドパルス療法」と呼ぶ。
・免疫抑制剤
ステロイドでは効果が
十分に出なかったときや、
ステロイドの副作用が
強く出てしまった場合に
免疫抑制剤を使用することがある。
SLEの原因となる免疫反応だけでなく
細菌やウイルスに対する
正常な免疫機能も抑制してしまうため、
感染症に注意が必要。
東洋医学の見解
・陰虚火旺
先天的に虚弱なものが
五志過極で化熱したために
営血の灼傷や陰絡の損傷が生じたり
烈日にさらされて熱邪が裏に入り
営血を灼傷したために
血が経脈を阻滞して発生する。
特徴:
顔面の鮮紅色の紅斑とともに
イライラ・五心煩熱・両頬の紅潮・
頭のふらつき・目まい・脱毛・
耳鳴・舌質は紅・舌苔は少ない・
脈は細数などの
陰虚火旺の症候がみられることである。
治法:
滋陰降火・活血通絡
・脾不統血
飲食の不節制・温度調節の不適切・
過労・心配事・病後の栄養不良などで
脾気が虚して血の統摂ができなくなり、
血が外溢するために発生する。
特徴:
顔色につやがない・息ぎれ・倦怠感・
水様便・腹満・食欲不振などの
脾虚による清湯不昇の症状と、
鼻出血・血便 不正性器出血などの
脾不統血の症状がある。
治法:
補脾益気・引血帰経
・血熱
内傷七情で肝欝化火し
熱邪が営血に伏して発生し、
血分の熱盛を主とする。
特徴:
頰の毛細血管の拡張で顔面の潮紅
を呈し、鼻周囲と頬部が紅くなる。
治法:
涼血清熱
鍼灸についてのQ&Aはこちら
Q&A