盗汗(とうかん)は、
盗賊がこっそりと物を盗むように
入眠後にこっそり汗が出ることから
盗汗といわれている。
主に、
陰虚内熱からくる盗汗をよく診ますが、
内傷病か外感病かを区別する必要があり
内傷病は虚証に多く、
外感病は実証が多い印象です。
『汗出一證、有自汗者、有盜汗者、
自汗者 滯滯然無時而動作則益甚;
盜汗者、寐中通身汗出、覺來漸收。』
(明・張介賓《景岳全書・汗證》)
訳:
汗には一つの症状があり、
自汗と盗汗がある。
自汗は常に汗が出て、
動作するとさらに甚だしくなる。
盗汗は眠っている間に全身から汗が出て、
目覚めると徐々に収まっていく。
『盜汗者、睡則汗出、則汗收也。
自汗屬陽虛、盜汗屬陰虛。』
(明・薛鎧《保嬰撮要・卷十・盜汗》)
訳:
盗汗する者は睡眠時に汗が出て、
目覚めると汗が収まる。
自汗は陽虚に属し、盗汗は陰虚に属す。
『盜汗、睡而汗出、覺而則止方是。』
(明・劉純《傷寒治例・盜汗》)
訳:
盗汗とは寝ている間に汗が出て、
目覚めると止まること。
『盗汗属血虚、気虚。』
(元・朱震亭⦅丹渓心法・自汗⦆)
訳:
盗汗は血虚、気虚に属する。
『盜汗屬血虛、陰虛、
小兒不須治。』
(元・朱震亨《丹溪心法・盜汗》)
訳:
盗汗は血虚、陰虚に属し、
小児は治療の必要がない。
『盗汗者、因眠睡而身体流汗也、
此由陽虚所致。
久不巳、令人羸瘠枯痩、心気不足、亡津液故也。』
(隋・巣元方《諸病源候論・虚労病諸侯》)
訳:
盗汗とは、眠っている間に体が汗をかくことであり、
これは陽虚によるものである。
長らく治らないと体が痩せ衰え、
津液を失い、心気不足になる。
『盜汗屬心、自汗屬肺。
心神不守、故有盜汗;
肺氣不收、故有自汗。』
(明・王肯堂《醫學津梁・卷二・盜汗自汗》)
訳:
盗汗は心に属し、自汗は肺に属する。
心神が安定しないため盗汗があり、
肺気が収まらないため自汗がある。
『盜汗者睡中則出、而醒則止矣。
緣邪在半表半裏、故知膽有熱也、
專主小柴胡為當矣。』
(明・陶華《傷寒六書・傷寒瑣言・卷一》)
訳:
盗汗する者は、
眠っている間に汗が出て、目覚めると止まる。
邪が半表半裏にあるため、
胆に熱があることがわかる。
小柴胡湯を用いるのが適当である。
『盜汗者、表裡汗出非任自汗而自出也、
多因心虛所致、宜斂心氣益腎水、
使陰陽調和、水之升降、其汗自止。』
(清・馮兆張《馮氏錦囊秘錄・雜症・方脈自汗盜汗合參》)
訳:
盗汗とは、表裏から汗が出て、
自然に汗が出るのではなく、
多くは心虚によるものである。
心気を収め、腎水を補い、
陰陽を調和させ水の昇降を整えることで、
汗は自然に止まる。
『盜汗為陰虛、自汗為陽虛。
然亦有秉質如此。
終歲習以為常、此不必治也。』
(清・江涵暾《筆花醫鏡》)
訳:
盗汗は陰虚、自汗は陽虚。
しかし、体質がこのような場合もある。
常にそれに慣れているようであれば、
これは治療する必要ない。
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