【東洋医学用語】食亦

食亦

食亦(しょくえき)

“亦”は㑊のことで怠惰のこと。
食亦は、多食なのにすぐ空腹になる・
身体が痩せる・身体がだるく無力
などの症状で、普段からよく食べているのに
痩せてしまう状態を指す。


食亦者、飲食不為肌膚、
言雖食猶若飢也。
蓋大腸移熱於胃、善食而瘦、謂之食亦。
夫胃為水谷之海、所以化氣味而為營衛者也。
若乃胃受熱邪消爍、谷氣不能變化精血、
故善食而瘦也。
又、胃移熱於膽、亦名食亦。
以膽為陽木、熱氣乘之則土而消谷。
(清・陳念祖《醫學金針・卷三・食亦》)
訳:
食亦とは飲食が肌膚のためにならず、
食してもなお飢えているかのようである。

大腸から胃に熱を移し、
よく食べるのに痩せるのを食亦という。
そもそも胃は水穀の海であり、
気味を消化して営衛とするものである。
もし胃が熱邪に侵され、
穀気が精血に変化できないならば、
よく食べるのに痩せるのである。
また、胃が胆に熱を移すのも食亦という。
胆は陽木であり、熱気はこれに乗じて
土となり穀を消す。
(清・陳念祖 『医学金針・巻三・食亦』)


其善食而瘦者、名曰食亦。
(金・張從正《儒門事親・三消之說當從火斷》)
訳:
よく食べるのに痩せる者を食亦という。
(金・ 張従正『儒門事親・三消之説当従火断』)

有善食而瘦者、胃伏火邪於氣分、
則能食、脾虛則肌肉削、即食亦也。
(金・李杲《脾胃論・脾胃勝衰論》)
訳:
よく食べるのに痩せる者がいるのは、
胃に火邪が気分に伏しているため、
よく食べられるが、脾が虚しているため
肌肉が削げ落ちる、すなわち食亦である。
金・李杲『脾胃論・脾胃勝衰論』)

大腸移熱於胃、善食而瘦、人謂之食亦。
(《黃帝內經素問・氣闕論》)

訳:
大腸が胃に熱を移し、
よく食べるのに痩せるのを、
人々は食亦という。
(『黄帝内経素問・気厥論』)


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